ベビーリーフ市場規模を3倍・300億円に拡大へ カゴメが3カ所目の直轄菜園
トマトの会社から野菜の会社へと生まれ変わるべく、「野菜」を基盤に持続的な成長を目指すカゴメは、ベビーリーフ事業に注力する。3カ所目となる同社直轄のベビーリーフ菜園を12月、山梨県北杜市に稼働させ、さらなる拡販体制に備える。
研究開発から商品企画、栽培調達、加工製造、出荷物流、営業販売まで、トマトで培ったカゴメならではの垂直統合型バリューチェーンを構築し、ベビーリーフを「ハレの料理の付け添え」から「普段使いのサラダのベース」に変え、日本人の健康寿命の延伸への貢献を目指す。
ベビーリーフを使った商品とメニュー
〈18年12月、山梨県北杜市に「小池ベビーリーフ菜園」稼働〉
13年の果実堂(熊本県)との資本・業務提携からスタートした同社のベビーリーフ事業は、17年1月に「高根ベビーリーフ菜園」(山梨県北杜市)を、18年8月に「千葉ベビーリーフ菜園」(千葉市)を稼働。来月12月には3カ所目の直轄菜園として、「高根」と同じ北杜市内に「小池ベビーリーフ菜園」の稼働を予定している。
野菜の幼葉(おさなば)の総称である“ベビーリーフ”は、えぐみが少なく、やわらかな食感が特徴。発芽して小さいうちに収穫するため、生のまま、幼葉のもつ栄養を丸ごと摂取できる。ビタミンA・E・K、葉酸、カリウム、ポリフェノールといったベビーリーフの栄養価に着目し、クリスマスのリースサラダなどハレの料理に加え普段使いにも提案することで現状、100億円規模(1人当たり18g)の日本のベビーリーフ市場を、まずは欧州並みの300億円規模へと市場形成を目指すという。
なお同社は10月1日付けで、家庭用・業務用・農事業の名称を廃止した家業農一体型の営業体制、企画体制を発表。家業農連携によるベジタブル・ソリューション(野菜を積極的に摂取できるよう摂取の障害を取り除く取組)を掲げており、ベビーリーフについてもナポリタンやピザなどカゴメがマーケティングを積極化させている戦略7メニューのトッピングに提案する。
カゴメマーケティング本部食品企画部生鮮野菜グループの大谷泰正部長は、「ハレの日に加え、サラダやスムージーへの利用を促し手軽な栄養摂取を呼びかける朝ベジプロモーションを通した日常使いへの提案を積極的に実施する。洗浄かつ“乾燥”の価値を伝え、時短や簡便ニーズ、人手不足が課題としてあるホテルや外食といった業務用にも積極的に拡販していきたい」と話した。
カゴメ・大谷部長
17年開園の高根ベビーリーフ菜園は、栽培面積2.5haに単棟ビニールハウス55棟を配置。時期に合わせピノグリーン・ルッコラ・スピナッチ・ビートの4種を栽培し、被覆資材による温湿度制御により年10~14作が可能だ。また防虫ネットによる虫混入を防止し、減農薬にも努めている。
同菜園の田中裕人社長は、「作業頻度の多い部分(潅水〈かんすい〉、換気)は自動化するなど高機能ハウスの導入により、低コストかつ生産量の安定化を実現している。今後は、生鮮トマトの栽培で培った知見を活用しスペックの高度化を進める」と話した。種まきから夏期は20日間、冬季は60日間程度で収穫されるベビーリーフは、収穫直後から品質が劣化(菌数増、萎れ、褐変など)するため、機械収穫による効率化を図り、収穫から運搬、保管、輸送までコールドチェーンを構築している。収穫後の選別工程では、害虫などの除去にレーザーで異物を感知するカラーソーターを導入。ベビーリーフの洗浄や包装工程は、10℃以下で冷蔵輸送し、横浜市にあるカゴメ関連会社のマイケーフーズが行う。
〈食品産業新聞 2018年11月8日付より〉