〈シグナル〉人手不足と働き方改革
日東ベストは今期、大幅な設備投資を行う。主力の山形工場では全2階部分を使い、これまで別工場で生産していた焼菓子を移管してラインを設置。神町工場では倉庫だった建物を生産工場として増設し、乳・卵・小麦不使用のフレンズシリーズの生産体制を強化する。
前期売上高522億円企業が約5%(25億円)を投資する目的は、増収増益はもちろん、「人手不足対策」や「働き方改革」に合わせたものという。どちらも既存施設では手狭で流れがスムーズでないことから効率化する計画で、IT等も含め可能な限り自動化し働き手の負担を軽くする方針だ。
同社は就職情報出版系のアンケート調査で、山形県で入りたい企業No.1となり、東北でも11番目となった人気企業だ。それでも、社員はそこまでではないが一時雇用や夜間業務の人員確保は厳しくなったという。
さて、給食業界の中でも医療・シルバー施設は、3食×365日という食事の提供体制からさらに人手不足は深刻だ。自営方式で食事提供してきた高齢者施設では調理師等の不足から委託形態に切り替える動きも増えたが、いざ給食業者に見積もりをとっても応札する企業が少なく競争もできない現状で、結果的に自営に回帰する施設もあるというねじれ状況まで出ている。
人手不足解消と働き方改革は一見方向性は同じに見えるが、それは生産性向上につながり、付加価値を上げるものでなければ諸刃の剣になってしまう。
〈食品産業新聞 2018年8月20日付より〉