「未病」シンポジウムで高齢者の低栄養対策を紹介-日清オイリオ 10食品群チェック方式で食生活を改善、MCT摂取も有効
続けて、「人生を過ごす中ではアンバランスも生じてくるが、今回は高齢期におけるアンバランス、低栄養について紹介したい。低栄養はエネルギー、たん白質が欠乏して、健康な体を維持できなくなる状態のことで、一言で言えば栄養失調状態の事だ。高齢になると噛む力が弱くなり、食べ物を消化する力も弱くなる。こうなると食事がどうしても細くなり、その結果、栄養バランスが崩れ、介護リスクが高くなることが近年の研究で分かっている」と説明した。
さらに低栄養の改善法として、「たん白質を中心に3大栄養素をバランス良く摂る必要があるが、個々人で専門的な栄養計算をすることは中々難しい。今回ご紹介したいのは、10食品群を食べたかどうかをチェックする方式だ。量は考えず1日に食べたかどうかだけをチェックし、そして翌日の食生活に反映するもので、7食品以上食べることが推奨されている。例えるならば、『健康の家計簿』と言えるだろう」と述べ、10 食品群のチェック方式が低栄養を改善すると説いた。
最後に土屋室長は、MCTによる低栄養の改善ついて紹介した。「低栄養になると、筋力も低下する。筋力が低下すると日常生活にもさまざまな影響が及び、特に歩く力が衰えると、転倒・骨折につながり、要介護状態になる可能性がある。MCTの摂取により歩行速度、握力が改善するという研究結果がある。人生100 年と言われる中で、自立した人生を過ごしていくには、テーマの『未病』という考え方がますます重要になるだろう。当社では今後も、食生活の中で食用油が果たせる役割を研究し、皆様に適切に伝えていきたい」と述べた。
なお「未病」シンポジウムでは、黒岩祐治・神奈川県知事が、箱根など神奈川県西部における未病改善の取り組みを紹介、経産省の担当者は旅行による未病改善効果を説明した。また、宮崎県と宮崎大学、宮崎市のフェニックス・シーガイア・リゾートなどによる産官学連携による未病の取り組みが紹介された。
〈大豆油糧日報2017年10月18日付より〉