カネカ、「パン好きの牛乳」などで乳製品事業に参入、5年後に200億円目指す

カネカは乳製品事業に参入する。グループのカネカ食品が4月から、高付加価値牛乳「パン好きの牛乳」を首都圏、関西のベーカリーなどで販売、あわせてバターを5月からベーカリー、菓子など業務用途を中心に販売を開始する。さらに今後はヨーグルト、チーズなどの乳製品や同社サプリメント素材と組み合わせた機能性食品を順次市場投入し、全国へ販売を拡大したい考えだ。5年後の22年度には同事業で売上高200億円を目指す。また、北海道内に本格的な乳製品製造工場の建設を検討する。

同社は27日、大阪市の本社で会見を開いた。食品事業などを担当する、天知秀介取締役常務執行役員NSユニット担当は、「今期は経営システムを刷新し、ソリューション提供に軸足を置いた事業展開を図っている。国内の酪農業は、後継者不足などから厳しい環境にさらされており、ソリューションを提供したいと、新事業にチャレンジした」と説明した。

次いで榎潤常務執行役員フードアンドアグリスSV事業部長は「当事業はベーカリー、菓子店を中心とした業務用食品素材を展開しているが、イースト、マーガリンを持つのは当社だけ。パン事業への貢献が大きい」とした。さらに「昨年4月に地域統括会社のカネカ北海道を設立、さらに今回の参入により、酪農から乳製品の生産販売、生活者の購入までを見据えて、一貫した乳製品事業を展開する」と語った。また、「酪農家とともに『魅力ある酪農業』を考え、持続可能な酪農を推進することを事業理念とし、やさしい酪農経営の支援に取り組む」と強調した。

カネカ 榎潤常務執行役員フードアンドアグリスSV事業部長

カネカ 榎潤常務執行役員フードアンドアグリスSV事業部長

〈ベルギー・ピュアナチュール社と技術提携、「パン好きの牛乳」を発売〉
同社は高品質でおいしさを追求した乳製品の開発・製造を目的に、ベルギーのピュアナチュール社と今年1月に技術提携した。ピュアナチュール社は8つのグループ会社を持ち、有機乳製品欧州各国に展開。優れた加工技術よる風味豊かな牛乳、バター、ヨーグルト、フレッシュチーズなどの乳製品は市場で高く評価されている。榎常務は「ピュアナチュール社との出会いを通じて、有機酪農の目指すところに共感。国内の有機乳製品市場の拡大に取り組みたい」とした。

「パン好きの牛乳」は、北海道の生乳を使用。ピュアナチュール社の独自技術を導入し、生乳加熱時の温度と時間を丁寧に調節するなどにより、「コクがあるのに後味すっきり」とした風味に仕上げた。500ml、オープン価格(参考価格200円税別)。今後、200ml、1,000mlへ拡大の予定。製造は当面、大阪の協力工場で製造する。ベーカリーからスタートし、コンビニ、高級スーパーなどへ拡大する。

5月発売の製菓・製パン用「発酵バター450g」は、北海道の生乳を使用。ピュアナチュール社の本場ヨーロッパの伝統技術(チャーン生産方式)により製造する。カネカが北海道恵庭市の自社小規模プラント(生乳処理量4,000t/年)で生産する。

〈大豆油糧日報 2018年3月28日付より〉

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