高付加価値品拡大、倉敷工場による拠点再構築などで成果-八馬史尚Jオイル社長
J-オイルミルズは21日、現中期経営計画(17~20年度)の取り組み状況と第2四半期決算概要の記者説明会を本社で開いた。その中で、八馬史尚社長(写真)は、高付加価値品の拡大や、倉敷工場の稼働による生産拠点の再構築などで成果を上げていると評価した一方で、健康食品事業は将来的な事業継続は難しいとの判断から、来年6月までに終売を決めたことを明らかにした。
八馬社長は中期経営計画の現況について、成長戦略で掲げる高付加価値品の拡大については、売上高・粗利益で共に2ケタ増と順調とした上で、家庭用ではオリーブ油は日本人の嗜好に合う用途提案を進めたことで、10年度比で2.2倍、前年度比でも20%以上、売上高を伸ばしており、一定の成果を上げているとした。業務用機能性油も、ニーズに合わせた品ぞろえと顧客への提案強化により、同じく10年度比で2.5倍、前年度比でも20%以上、売上高を伸ばすなど成果を上げているとした。
また、ソリューション事業の上期の成功事例では、低糖質食が広がる中で、大豆粉とレジスタントスターチ「アミロファイバー」を使用した食感の良い低糖質パンが大手流通に採用されたことを挙げ、今後もさまざまな領域で可能性があると期待感を示した。
アジアでの展開では、タイでのスターチ販売が、この2年間で売上は1.5倍に拡大していると述べ、日系畜産加工・冷凍食品メーカーに対する、国内の営業と連携した提案が奏功していると述べた。
構造改革では、西日本の大豆搾油拠点として今年稼働を始めた倉敷工場について、搾油をダウンサイジングしながら、最新設備による省人化・生産効率化を実現していると評価した。他方で、がん診断薬などメディカル事業は子会社のJ-ケミカルに移管して黒字化を図るほか、健康食品事業は昨今の販売量縮小を受けた赤字拡大を踏まえて終売を決めたことを明らかにした。
八馬社長は健康食品事業の終売を決めた経緯について、「かなり売上・取り扱いが増えた時期もあったが、近年は相対的に存在感が低下していた。『大豆レシチン』を中心に商品の絞り込みも行ったが、現中期経営計画とさらにその先をみた場合、事業継続は難しいと判断した。今後は食用油の健康価値の提供に軸足を置きたい」との認識を示した。
第2四半期決算(売上高2.2%増の923億0,200万円、経常利益44.2%減の19億7,800万円)について、八馬社長は「過去2年間の事業環境は比較的安定していたが、昨年度下期から搾油環境が悪化し、今上期はさらにコストが上昇したこともあり、残念ながら減益となった。一方では体質強化の取り組みとして、高付加価値品の拡大などの成長戦略、サプライチェーンの効率化といった構造改革は予定どおり進捗しており、今後さらに加速を図りたい」と述べた。
〈油価改定は佳境、斗缶300円値上げの年内実勢化を図る-善当専務〉
説明会では、善当勝夫取締役兼専務執行役員が、10月からの油価改定の現状について、先物商談主体のバルク油は食品関係メーカーの搾油採算への理解度の高さもあって比較的進捗しているとした。家庭用オリーブ油の価格改定では、販促条件の見直しも含めて取り組んでいるとした。
業務用斗缶については、人手不足や物流費上昇など、ユーザー側の事情も踏まえながら、値上げ幅や時期も含めて厳しい交渉が続いているとしながらも、油価改定を最優先課題として取り組む中で、大口ユーザー向けは今月内に目標の300円に対して200円の実勢化が見込まれており、残り100円についても年内実勢化を図る考えを示した。
善当専務は「年を明ける積み残し部分もあるとは思うが、値上げ交渉はまさに佳境にきていると思っている」との認識を示した。
〈大豆油糧日報2017年11月24日付より〉