豆腐店の売上を伸ばす品ぞろえをテーマに講演会開く-東京都豆腐組合
関口氏は始めに、近年の流行のキーワードとして、SNSなどに画像を投稿して楽しむ「写真映え」を紹介、良い写真を撮るために、高級ホテルのナイトプールなど場所を選んだり、サクラとして人を雇う事もあることなどを説明した。また、「クラシル」などレシピ動画に特化したサイトが人気化していることや、スポーツジムと食品メーカーといった異業種によるコラボ商品が増えていることを紹介、さらに低糖質ダイエットの広がりは、豆腐にとってはチャンスだと指摘した。
続いて、組合員の店舗事例の紹介に移り、中村食品(江東区)については、周囲の大手スーパーへの対抗や、一年を通して波のある豆腐の売上を補完するため、以前から豆腐・油揚げだけではなく、総菜や魚の干物、つくだ煮など100点を超える商品を扱っていることが特徴とした。関口氏は商品を増やすと管理が大変なことから、商品ジャンルの売れ行きや収益、購買層、売れる季節・時間帯といったデータを把握することが必要とアドバイスした。
田端銀座商店街の一角にある、さとみ屋(北区)は国産大豆の銘柄を3、4種使い分けた豆腐を販売するほか、具材が多彩ながんもどきなどが一押し商品となっている。大豆の銘柄が変われば、違う豆腐として来店客に認識してもらえるほか、ざる豆腐は竹ざるを使用するなど容器にこだわることで、購買を喚起している。関口氏は豆腐の品ぞろえにこだわっている点を評価した一方で、手間をかけることで課題になる人手不足対策については、店舗での張り紙やハローワークでは限界があり、有料求人情報誌などの活用を勧めた。
〈商店街で商品を共同開発、家族の協力でホームページ作成、来店客増加に効果〉
豆富司みしまや(大田区)は、おぼろ豆腐を一押し商品としており、週3回は夕方に出来立て熱々のおぼろ豆腐を販売しているほか、同じ商店街のケーキ店と共同開発した豆乳シフォンケーキや、オリジナル保冷バッグによるおみやげセットなどを販売していることを紹介した。
杉田とうふ店(足立区)は、豆腐・油揚げ以外の商品では、酢飯の替わりにおからを入れたお稲荷さんや、豆乳ケーキや杏仁豆腐など季節デザートの売れ行きがよいと紹介。また、家族の協力で作成したホームページが好評で、来店客・リピーターが増えたほか、テレビ局の取材を受けるなど、費用に対して十分な効果が得られているとした。関口氏は、「しっかりしたホームページを作っておられ、店の雰囲気やこだわり、店主の横顔、来店客の感想を丁寧伝えている。若年層はまずホームページで店を調べるので、当たり前の事も含めて伝えていくことが大事だ」と評価した。
明治座の観劇客などで人通りの多い人形町・甘酒横丁の一角にある双葉(中央区)は、土産として持ち帰りやすい、がんもどきや豆乳ドーナツ、その場で食べられる豆乳ソフトクリームなどが売れ筋のほか、甘酒は夏場は売上の半分を占めるほどの人気商品という。関口氏は立地を考えて、来店客のニーズに沿った品ぞろえに努めていることを評価した。
最後に関口氏はまとめとして、既存商品の売上を伸ばす方法として、①置き場所を変える(売りたい商品は来店客の目線に、黙っても売れる商品は下段に)、②POPを出す(キャッチコピーを付ける、こだわりを伝える)、③パッケージを変える(ラベル・容器を変える、贈答品にも)、④値下げする(あくまで戦略的に、容量を変える)、⑤終売する(季節物・イベント物は時期が過ぎれば見切る)――ことをポイントに挙げた。あわせて、流行を捉えた新商品や季節商品で来店客を呼び込むことも効果的とした。
〈大豆油糧日報2017年11月29日付より〉