「きりたんぽみそ鍋」を新しい秋田の名物に/秋田県味噌醤油組合・京野信行専務理事に聞く

現代的なピクトグラム風デザイン きりたんぽみそ鍋のロゴマーク
〈秋田県産食材の消費拡大へ〉
秋田県では、今年から大々的に、秋田みそで作る秋田名物「きりたんぽみそ鍋」を展開する。秋田県味噌醤油工業協同組合を中心に、JA全農秋田営農支援部、秋田県総合食品研究センター、秋田県観光文化スポーツ部、秋田うまいもの販売課などが連携して、18年8月に「きりたんぽみそ鍋協議会」を設立した。

秋田県味噌醤油組合の京野信行専務理事は、「きりたんぽみそ鍋」を展開する経緯を、「全国的に名前を知られている秋田の『きりたんぽ鍋』は、比内地鶏のだしが効いたしょうゆベースのスープでいただく、秋から冬にかけての県民食。秋田でしょうゆが広く使われる以前の幕末期までは、みそが主な調味料として使われていた。甘み・うま味の多い秋田みそをベースに、秋田県産食材を使用した『きりたんぽみそ鍋』は、いわば古来伝承の味の復活でもある。組合ではきりたんぽみそ鍋協議会を立ち上げ、秋田みそと秋田県産食材の消費拡大を目指し、きりたんぽ鍋の新たな食べ方の提案『きりたんぽみそ鍋』の普及に取り組む」と説明する。

秋田県味噌醤油組合・京野信行専務理事

秋田県味噌醤油組合・京野信行専務理事

また、きりたんぽ鍋のロゴマークといえば、和風のイメージがあるが、「きりたんぽみそ鍋は今までのきりたんぽとは違うところをアピールするため、現代的でシンプルなピクトグラム風のデザインとしている。4つのピクトグラムは上から「きりたんぽ「秋田県産豚肉」「秋田県産野菜ときのこ」の下に「土鍋」を配置し、「きりたんぽみそ鍋」の定義を表現しているという。

ロゴはモダンな書体で「みそ」の部分を茶色にすることで強調し、全体の配置からも、ロゴ全体が「笑顔」に見えるよう工夫しており、「きりたんぽみそ鍋」を食べ、そのおいしさから食べた人が笑顔になる、という願いも込められているとしている。

〈「きりたんぽみそ鍋」を県外の居酒屋などにも展開、お歳暮セットも提案〉
アレンジは自由だが、「きりたんぽみそ鍋」の定義というものがある。それは、△秋田みそを使用していること、△秋田県産豚肉を使用していること、△秋田県産野菜を中心に使用していること、△秋田県産きのこを中心に使用していること──の4つだ。

レシピ開発には、秋田県在住のオピニオンリーダーを起用。みそソムリエの小山明子さん、フードコーディネーターのたなかのりこさん、野菜ソムリエの最上美貴子さん、料理研究家の木元千恵子さんに活躍してもらう。「これからは鍋の季節。居酒屋や和食屋などの飲食店にも『きりたんぽみそ鍋』をメニューに取り入れてもらいたい」。

きりたんぽみそ鍋協議会では、秋田県内外での「きりたんぽみそ鍋」の提供にも積極的だ。飲食店に同協議会に登録してもらえれば、きりたんぽみそ鍋提供店の「三種の神器」(のぼり、ミニのぼり、ポスター)をプレゼントする。

「県内のレストランだけではなく、アンテナショップをどんどん広げて行きたい。また、『きりたんぽみそ鍋』をセットにして、贈答用などお歳暮としても百貨店などに扱ってもらえると大変ありがたい」と京野専務理事の声のトーンも一段上がる。

10月は「きりたんぽみそ鍋」をお披露目するため、意欲的にイベントにも出店する(一部は既に終了)。10月1日は「秋田の酒を楽しむ会」、10月6・7日は「新秋田の行事」、10月13・14日はチャレンジマルシェ、10月20・21日は「秋田醸しまつり」に出店して、「きりたんぽみそ鍋」を振る舞う予定となっている。

〈みそ汁の食育活動「一杯の味噌汁プロジェクト」、秋田から全国へ展開〉
このほかの広報活動では、フェイスブックなどのSNSや専用サイトを立ち上げ、各種メディアを使って、展開する。「『秋田醸しまつり』では2日間で、約1万人の来場を見込んでいる。秋田が誇る酒、みそ、しょうゆ、麹など発酵食の県内最大級のフェスティバルなので、若い人にも楽しんでもらいたい」とし、これからの秋田を担う若い世代へのメッセージを強力に発信したい考えだ。

今回、「きりたんぽみそ鍋」のレシピ開発にも参加する小山明子さんは、「一杯の味噌汁プロジェクト」を12年に発足し、その活動を全国展開している。「ご飯とみそ汁の食育」を秋田から全国へ発信している。

「ご飯とみそ汁」を日本食の土台と位置付け、秋田味噌醤油組合とタッグを組み、みそ汁教室やみそ作り体験などの「食育出前講座、みそ汁の具となる野菜を育てる「みそ汁農園」など、みそ汁普及のための活動を広げている。

〈大豆油糧日報 2018年10月11日付より〉