日清オイリオグループ、加工油脂関連投資や「かけるオイル」の展開など順調に推移/18年度第2四半期決算

日清オイリオグループ 久野貴久社長
日清オイリオグループは14日、18年度第2四半期決算会見を本社で開き、決算概要と共に中期経営計画(17~20年度)の進捗状況を説明した。その中で、久野貴久社長は、中期経営計画について、収益貢献は同計画終了後の見通しとしながらも、イタリアの油脂精製会社への出資や、来年4月稼働予定のインドネシアでのチョコレート工場など、加工油脂事業関連の投資状況を説明したほか、家庭用油市場における生食用途「かけるオイル」や、MCT(中鎖脂肪酸油)の展開動向について順調に推移していると述べた。

久野社長は始めに、108億円と想定している今年度の通期営業利益の達成と共に、20年度の営業利益目標130億円についても確実に達成していく考えを示した。その中で、「今年度上期は汎用油カテゴリーの収益安定に加え、付加価値カテゴリーの収益の積み上げが寄与している。中食・外食市場向けの顧客に、しっかりとした提案営業活動と、ユーザーサポート活動を継続することで、適切な価値を認めていただいたことが着実に成果につながっている」と評価した。

次いで、付加価値カテゴリーの利益計画の推移については、13年度を100とした場合の指数では、18年度は138と40%近い伸びが達成見通しにあり、さらに20年度には165を目標としていることにふれた上で、中期経営計画の進捗状況を説明した。

〈イタリア油脂精製会社への出資で欧州に足掛かり、丁寧なサービスに努める/久野社長〉
始めに、加工油脂事業でのグローバルサプライチェーンの強化について説明する中で、イタリア・ジェノバの油脂精製会社・アテチ社への70%出資手続きが完了したことについて、「目的としては欧州では付加価値型オイルの需要拡大が見込まれており、品質・物性への要求だけではなく、サステナビリティやトレーサビリティへの対応が求められている。その対応のためには欧州で足掛かりを持ち、丁寧なサービスに努める必要があると判断した。19年度から販売活動・顧客サービスの拠点としてスタートする計画で、収益に貢献するのは20年度以降になるが、既存顧客のみならず、南欧州を中心に周辺需要の取り込みを図っていきたい」との考えを示した。

このほか設備投資の現況については、建設中のインドネシアでのチョコレート工場は、来年4月の稼働に向けて準備を進めていると述べた。また、マレーシアのISF社では、19年度上期に精製能力の増強投資が完了予定で、欧州向けの実績を積み上げながら、チョコレート用油脂の新規開拓や新商品の拡売を図ると述べた。

国内では、大東カカオのチョコレート増産、横浜磯子事業場の加工油脂設備の投資がほぼ完了しており、19年度以降の収益貢献につなげる考えを示した。

家庭用油市場における「かけるオイル」の展開について、久野社長は「『鮮度のオイル』シリーズの販売・新商品投入など、当社が率先して市場創造を図り、合わせてシェアも獲得している。『かけるオイル』市場は13年度の約200億円規模から、20年度にはおよそ倍の400億円まで拡大する見通しにあり、その中で当社は、今年度上期はアマニ油やオリーブ油、ごま油がけん引役となり、市場の成長率以上の実績を確保した」と評価した。

MCT連商品の展開については、4月から営業体制を再構築し、従来の食用油の営業ネットワークを活用して、量販店やドラッグストアでの販売拡大を進めていると述べた。

また、CMキャラクターにサッカーの長友佑都選手に加え、モデルの長谷川潤さんを起用し、運動と美容の両面でコミュニケーション活動の活性化に努めていることも付け加えた上で、18年度上期の売上高は直前半期比で55%増、さらに下期は同40%増を見込んでいるとした。

〈大豆油糧日報 2018年11月16日付より〉