相模屋食料「ひとり鍋」シリーズ・「おだしがしみたきざみあげ」など絶好調/鳥越淳司社長

相模屋食料「おだしがしみたきざみあげ」
〈豆腐メーカー再建を使命に、北米での展開も準備〉
ヒット商品「ひとり鍋」シリーズや、新タイプ商品「BEYOND TOFU」「おだしがしみたきざみあげ」など、あらゆる角度から商品を展開しているほか、関東・関西の豆腐メーカー再建にも注力している相模屋食料。今回は鳥越淳司社長に、18年度(2月期)業績の回顧や、北米進出も視野に入れた今後の展望などを聞いた。
相模屋食料 鳥越淳司社長

相模屋食料 鳥越淳司社長

〈豆腐メーカー再建を使命に、北米での展開も準備〉
ヒット商品「ひとり鍋」シリーズや、新タイプ商品「BEYOND TOFU」「おだしがしみたきざみあげ」など、あらゆる角度から商品を展開しているほか、関東・関西の豆腐メーカー再建にも注力している相模屋食料。今回は鳥越淳司社長に、18年度(2月期)業績の回顧や、北米進出も視野に入れた今後の展望などを聞いた。
 
──18年度の業績はいかがですか
 
グループ売上高で、前年比13%増の254億円に到達する見込みだ。昨年の夏は猛暑で、豆腐の需要が絶好調だった。秋冬も暖冬傾向で鍋物は良くないと言われているが、当社は「ひとり鍋」シリーズや、「おだしがしみたきざみあげ」が絶好調で、1年を通して良かった。
 
──具体的な商品動向は
 
基幹商品は全般的に良かった。特に、木綿3個パックが好調で、2月にはライン増設を実施した。
 
「ひとり鍋」シリーズは、年間で20億円を超えるシリーズだ。リピーターがかなり多く、味への評価が高まっている。
 
絶好調の「おだしがしみたきざみあげ」は、18年度は生産調整があったが、19年度には最低でも8億円規模になる見込みだ。今年2月には、テレビCMを放映した。発売から約1年が経ったが、当初から生産が間に合わない状況で、そこから1.5倍の生産増強を行ったが、それでも追いついていない。
 
「BEYOND TOFU」は、じわじわと認知度が上がっており、中でも「BEYOND PIZZA」が一番売れている。油揚げをベースにしたピザ生地のため、植物性100%、乳製品不使用というだけでなく、グルテンフリーという特長が加わり、受け入れやすさがさらに高まったのではないか。
 
また、USS製法を生かした春の新商品は3月3日のファッションショーイベントの神戸コレクションで発表する。カフェ文化にアプローチする商品だ。
 
──課題を挙げるとすれば
 
夏場は生産がかなりひっ迫した。生産体制をどうするかが課題となる。
 
関西エリアでは、昨年に廃業した但馬屋食品の工場を稼働させ、製造拠点としている匠屋(兵庫県伊丹市)が7月に立ち上がった。神戸工場と匠屋と連携をとろうと取り組んでいる。
 
──匠屋をどう生かしますか。

 
匠屋ブランドの商品と共に、相模屋食料ブランドの商品も生産することで工場の稼働率を上げ、収支のバランスを図る。但馬屋食品で培われた職人技による木綿・絹豆腐の価値を打ち出していく。
 
その他の日本ビーンズ、石川サニーフーズも単月黒字を確保するなど、再建する会社が何とか上向きになってきている。
 
──西日本のメーカー進出など関東市場での競争激化が懸念されています。
 
競争はあった方が良いと思うが、競争ばかりしている場合なのか。見るべきは、この1年間で倒産・廃業した豆腐メーカーがどれだけあるかということだ。1社でも多く再建することが当社の使命だ。
 
──今後の施策方針を。
 
世界に豆腐をもっと広げたい。日本でも豆腐の良さが改めて注目されており、これを好機に、匠屋のような豆腐作りのプライドのある商品や、当社の「ひとり鍋」「BEYOND TOFU」など、さまざまな角度から、消費者に豆腐を感じてもらえる展開をしていきたい。
 
また、主戦場はもちろん国内・アジアだが、北米でチャレンジしたいという思いがあり、米国ニューヨークでの「おだしがしみたきざみあげ」の展開など、準備も進めている。海外でも豆腐を分かってもらえる。しかし、ヘルシーだけど味がないというイメージを持たれているため、さらにおいしい豆腐を提供できれば、もっと広がっていくのではないか。
 
〈大豆油糧日報 2019年3月6日付〉