神州一味噌 “パパッと味噌パウダー”に注力、「ブランド力の輝きを取り戻す」/塩谷泰文社長インタビュー

神州一味噌「パパッと味噌パウダー」
サッポロビール出身でポッカサッポロフード&ビバレッジ取締役執行役員の塩谷泰文氏が、営業や経営戦略などの豊富な経験を携え、今年3月、神州一味噌の代表取締役社長に就いた。ブランド力の輝きを取り戻すことを直近の課題に据え、神州一味噌らしさを示す画期的な商品開発に取り組む。今年は新しいみその定義を予感させる新製品「パパッと味噌パウダー」の販売に注力し、上昇気流をつかむ意向だという。
神州一味噌 塩谷泰文代表取締役社長

神州一味噌 塩谷泰文代表取締役社長

〈神州一味噌 塩谷泰文代表取締役社長に聞く〉
──神州一味噌は2016年9月にサッポログループの傘下に入り、3年が経とうとしている。何が変わってきたか。
 

前任の松出義忠社長や宮坂勇一郎会長に基盤づくりをしていただいたので、より組織化を図ることができた。
 
みそは発酵という意味でビールとも似ているところがあり、馴染みがある分、面白いなと感じていた。匠の技というか、かなり人間の手がかけられて作られている。みそもビールと似ていて、こうしたらこうなる、といった方程式が一定ではない。未知の部分を残している商品であり、何よりも健康に良い食品でもある。ビールもリラックス効果があり、食欲増進剤にもなっている。そういう部分でもみそと似ていると感じている。
 
サッポログループにとっても、食品分野は大きな目玉だと思っているので、そこの部分に携われることはありがたいと思っている。
 
──社長に就かれてまずやりたいことは。
 
神州一味噌はブランド力があり、これまで業界初となる技術を導入し、画期的な商品をたくさん送り出してきた。
 
しかし、ここ数年はブランド力の輝きに陰りが出ていた。直近の課題は、ブランド力の輝きを取り戻すこと。神州一味噌は他社とどこが違うのかをはっきりさせて、自信を持つ。そういった意味で、画期的な商品を次々と作っていかなければ、ブランド力の輝きは戻ってこない。「み子ちゃん」という強い商品のブランドをさらに輝かせながら、新しい商品も世の中にたくさん出していきたい。
 
〈もう一度「み子ちゃん」ブランドを磨きなおし、より輝かせる〉
──具体的な課題は。

 
今年発売した「パパッと味噌パウダー」を新規性のある商品として成功させたい。それから、「み子ちゃん」ブランドをより輝かせたい。「み子ちゃん」の特徴は具材の味をうまく引き出せるみそであること。また、ほっとする感じ。母親が作ってくれたやさしい味が良さなので、その特徴を全社で共有し、もう一度「み子ちゃん」ブランドを磨きなおしたい。

神州一味噌 み子ちゃん

み子ちゃん

市場が拡大基調にある即席みそ汁にも、簡便、健康を軸に売上を強化していく。「パパッと味噌パウダー」はお湯を入れればおいしいみそ汁にもなり、パウダーなので調味料としても使える。実際に食べていただいてこの商品を体験していただければ、バイヤーにも納得していただける。配荷も順調に進んでおり、神州一味噌の新商品としては、かつてない間口の取れた商品となっている。
 
ただ、まだ認知率が低い。雑誌やテレビ番組と連携して露出を増やしていく。SNSやユーチューブなどを活用して、認知率を上げていきたい。
 
店頭で来店者に商品特徴を説明し、実際に試食していただくと、通常の倍以上売れる。認知が高まれば、必ず売れるという手応えはある。「パパッと味噌パウダー」はメニューにコクを与える。グラタンなどの洋風料理にも合う。バターやマヨネーズとの相性も良く、可能性のある商品。パパッとかけるだけなので、新しいみその定義ができるのではないかと思っている。
 
売場ではみそ売場だけではなく、生鮮売場などでも展開すると販売が伸びるので、売場提案にも取り組んでいきたい。購入者アンケートでは、シニア層にも受け入れられており、お椀にスプーンで入れ、お湯を注ぐだけで簡単にみそ汁ができる点も、シニア層に好評な理由だと聞いている。
 
こうしたトレンドから、店頭では粉みそや液みそで売場を作る傾向も見られ、「パパッと味噌パウダー」にとっても、追い風になればと期待している。
 
〈大豆油糧日報 2019年8月9日付〉