〈大豆ミートビジネス最前線〉日本アクセスがミールキットやキットパーツで展開、広がりを加速
同社では、2018年度の後半から、同企画を立ち上げ、本格的に企画をスタートさせたのは2019年半ばから。同社のメイン事業は卸売だが、畜肉MD部では自社開発機能を持っており、国内外の協力工場に開発したレシピを提供し、製品化する事業も実施しているという。
大豆ミートに関しては、「2020年に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックで、大豆ミートの市場が一気に盛り上がることを想定していた。もともと冷凍ハンバーグやソーセージ、ナゲットなどは畜肉MD部の事業範囲であり、同じ製造ラインでの生産が可能であることから、畜肉MD部で事業を展開することとなった。生産は、自社工場はないので、委託する形式をとっている」(野々村孝志畜肉MD部長・3月26日取材時)とする。
日本アクセス・野々村孝志畜肉MD部長
自社開発の植物肉「MAL de MEAT」(マル・デ・ミート)のネーミングは、部署内公募の中で、インパクトのある名称としてふさわしいものを選んだ。現在の商品ラインアップは、冷凍ハンバーグ1種類とソーセージが20gと50gの2種類。今後は「ナゲットやミートボール系の商品を次年度以降で増やしていきたい」としている。
同社は、中食、外食に強みがあることから、「まずは業務用として新商品を投入していく。デリカやコンシューマー向けの商品としてミールキットの販売に注力しており、ミールキット向けのパーツとして『マル・デ・ミート』を販売していきたい。ミートボールが一つあれば、調味料によって、メニューが1アイテムにつき、5アイテムぐらいまで広げられる。これをパーツとして提案していけば、市場に早く広がっていくはず。また、ミールキットをヴィーガンやベジタリアン向けにシリーズ化することも考えられる」とし、まずは業務用に注力する予定だ。
〈完全動物性原料フリーのハンバーグとソーセージを開発、複数の大豆ミートをブレンド〉
新商品開発で一番こだわったことは、「100%植物性で製造すること。他社製品では卵白を使用されているところもある。当社は卵白も使わずに、商品を仕上げている。これにより、完全動物原料フリーであることがうたえる。卵白は大豆ミートを成型する時の結着力に影響を与える。卵白を入れないと、パサつきが強く、味の面でもコクが弱いという弱点を持つ。しかし、弊社は卵白を入れないという選択をした。そのため、いかに卵白を入れた商品に近づけられるかが開発の一番の課題となった。これは、形状の異なる複数の大豆ミートをブレンドさせることで解決している。大豆臭に関しては、調味料、香辛料などを入れることによってマスキングしている」と自信を見せる。
ハンバーグでは、肉粒感を出すために複数の植物性たん白をブレンド。鉄板式加熱水蒸気ロースターで焼き上げているため、焦げ目はしっかりついて、ふっくらジューシーに仕上がっているという。また、焼成済みなので店舗での調理に手間取らないこともアピールポイントとなっている。
今後の植物性由来の代替肉の広がりに関しては、「日本にも意識の高い人は増えてきている。これまでは、大豆ミートなどを一般のスーパーでは見かけなかった。これが、コンビニや外食で目にするようになり、オリンピックなどにより訪日外国人が増加することによって、日本国内でも本格的に盛り上がるといったシナリオは描いていた。オリンピックは延期となったが、一年後の盛り上がりに期待したい」と仕切り直しを誓った。
〈大豆油糧日報2020年4月16日付〉