昭和産業が天ぷら粉60周年で総菜や外食とコラボ、油脂とミックス扱う強み生かす
まず、2019年の国内の搾油量について、大豆は前年比104%の245万t、菜種は101%の237万tと、両油脂とも前年を上回ったことを振り返り、「特に大豆搾油量は近年回復傾向で、5年前と比較すると125%程度となっている」と説明した。
油脂のコスト環境については、「厳しい状況と判断している。昨今、物流コストや包材コストの上昇など、原料以外のコストも厳しい状況だ。しっかりと説明した上で、コストに見合った丁寧な販売を行っていく」と述べた。
業務用の食材については、「2019年はベーカリーや菓子向けの果糖ミックスが伸び、全体の数字を押し上げた。油脂部が主に販売している業務用天ぷら粉や、から揚げ粉などのミックスは年間12万5,000t前後と大きな変化はない。特にスーパー総菜など、中食業態の堅調さが支えている」と説明した。
取り組みについては、「業務用製品、食材については、油脂とミックス双方を取り扱う当社ならではの強みを生かし、多様化している中食と外食の顧客、その先の消費者のニーズにしっかり応え、マーケットインの観点で最適な組み合わせで製品提案を行っていく」と力を込めた。
業務用ミックスは、天ぷら粉発売開始から60周年の節目の年となることから、業務用の販売ルートにおいても、総菜や外食メニューとのコラボレーションによる販売促進を計画している。商品政策では、白くて歯切れのいい食感の衣が特徴の「珀金天ぷら粉」の1kgタイプを追加発売し、幅広い業態のユーザーに対応していくとした。
また、唐揚げ粉の販売が好調といい、ラインアップを充実させた「パリッジュ~」シリーズの定期的な販促提案が、スーパー総菜でのメニューのバラエティー化に役立っていることを要因に挙げた。販売ルートでは、従来の食肉卸に加えて、畜肉メーカーやベンダールートを活用して採用につながった成功例も出ているという。
〈好調な大豆たん白製品群に注力、3月完成の設備更新を踏まえ体制を強化〉
今後の注力カテゴリーについては、「植物性たん白市場は活性化している。大豆たん白製品群も非常に好調で、国内生産量は2013年から2019年までに約130%と大きく伸長している。今後もさらに拡大が見込める市場で、当社の販売量も市場を上回るペースで伸びている」と手応えを語った。
従来の用途にとどまらず、100%の畜肉代替、菓子類や即食製品への展開など多岐にわたっているとし、「油脂事業に加え、糖質事業ででん粉などを取り扱う強みを生かし、提案活動の成果が出てきている。20年3月完成の設備更新を踏まえ、今後は研究開発・製造・販売すべての体制を強化し、市場開拓に向け拡大に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
また、昨年10月の台風により、精製工程で生じるフーツの処理工場が被災した影響について、「昨年11月に両工場ともフーツの引き取り手がなくて数日止めざるを得ない状況となったが、引き取り手は見つかっており、現在は潤沢に回していけている。ただ、自社でも処理していくべく、工場と打ち合わせしており、来年度中には処理できるようにしたい」と述べた。
鈴木雄一食品部長は、昨年の取り組みとして、食品部の今後の取り組みとして、家庭用商品では、天ぷら粉700gの復刻版パッケージ商品を発売し、全商品に「愛され続けて60周年」というアイキャッチをパッケージに記載して展開すると説明した。「オリンピックイヤーということで、日本の和食の象徴である天ぷらを国内外に広めて需要を喚起し、10月の発売60周年に向けて、さまざまな食シーンで天ぷら粉のおいしさを発信していきたい」と意気込みを語った。
昭和産業 鈴木雄一食品部長
〈大豆油糧日報 2020年2月12日付〉