アメリカ大豆輸出協会「納豆インダストリーミーティング」オンライン開催、コンテナ輸送の状況など報告/USSEC
開会宣言を行った、納豆連の野呂剛弘会長は「(12月10日~11日にかけて発生した)米国における竜巻は、大変な事態を引き起こした。心からお見舞い申し上げる」と述べた。また、USSEC北東アジア地域代表のロズ・リーク氏は、「過去の納豆ミーティングで発表した生産者の地域でも、竜巻による大きな被害があった」と話した。
続いて、米国の食品大豆品種データベース化について、USSEC食品担当部長のウィル・マクネアー氏が紹介した。それによれば、同データベースはステークホルダーやバイヤーに米国大豆の情報提供を行うために作成し、20年産は150以上もの品種が掲載され、たん白含有量や白目などスペックや用途などで検索出来るとした。リストアップされた品種をクリックすると、品質や成分、オーガニックかどうかといった詳細情報が分かるという。サプライヤーの企業情報についても掲載されており、つながりを持てるとした。
生産者・サプライヤーの団体SSGAメンバーのリック氏が、大豆市況について、「CBOT価格(シカゴ大豆相場)は高騰している。スペシャリティ作物は供給がタイトな状況となっている。食品大豆の堅調な需要や、2022年度の生産の需要も上昇し、プレミアムは上がっている。バイオ燃料の影響で米国産搾油大豆の需要が増え、ノースダコタ州では2つの搾油工場が建設中で、同州で生産される大豆の約50%を消費することになるだろう」と、作物間での競合が厳しくなっていると説明した。
また、SSGAは米国産IP作物の品質保証プログラムについて発表しており、これによりトレーサビリティに弾みがつくと期待を示した。メーカーが、米国産IP作物を購入すると、農場から流通までのトレースを保証する。
〈SSGA、物流混乱改善に向け「海上輸送改革法」支援、納豆の中国向け輸出に伸び〉
SSGAメンバーのダーウィン・レーダー氏(ジーランドファームサービス社)は、混乱を招いているコンテナ輸送の状況を報告した。それによれば、「コロナ禍で発生した、輸出に使えるコンテナが不足するという問題により、遅延ではなくもはや輸送自体がキャンセルされるようになった。私たちの製品は大きな影響を受けている。米国では船舶の渋滞が最も長い距離となり、先週は96隻が入港を待ち3週間経ってからようやく入港できる状況だった。ロサンゼルス港では錨(いかり)の数が減っているが、これは状況改善ではなく、錨を下す場所がさらに遠くなっているため」だと述べた。
今後の見通しに関しては、クリスマスや新年が明けたら改善すると考えている人もいるが、2023年中も改善しないとの見解もあり、多くの専門家が今の厳しい状況は続くと見ているという。その上で、SSGAの対応としては、海上輸送改革法を強力に支援し、同法は下院議会を通過、上院議会の通過を期待しているとした。
続いて日本側からは、納豆連の小杉悟副会長が、納豆の輸出状況と可能性などについて紹介した。「一部の納豆メーカーは既に海外に進出しているが、引き合いは主に日系人向けの輸出だ。しかし、納豆の輸出量は徐々に増加し、2017年は1752tだったが、2021年は納豆連推計で3260tと約1.8倍となることを見込んでいる」と述べた。最大輸出国であった米国向けは、コロナ影響で21年は少し減少する見通しだという。一方、中国向け輸出は、2020年の667tに対し2021年は1242tと大きく増加。「納豆の健康機能への期待、日本ブランドの信頼、中国でも医食同源の考えが根付いてきているのではないか」とし、今後の輸出も期待できるとした。
その上で、納豆連では国と共に、納豆製品の国際ルールを作り上げるコーデックスアジア部会で協議を行っており、数年でまとまる予定であるとした。
〈大豆油糧日報2021年12月17日付〉