“大豆で世界が変わる”コンセプトにイベント開催、植物性バター・チーズ・ウニ使用のメニュー提供/不二製油グループ本社
同社が2019年から大豆を使ったプラントベースドフード(PBF)を提案している「UPGRADE Plant based kitchen」と、日本各地の食材を使ったバルメニューを提供している「micro FOOD & IDEA MARKET」とのコラボイベントで、不二製油の大豆ミートや植物性バター・チーズ・ウニなどを原料に用いたランチメニューが提供されている。2020年秋も同イベントを「UPGRADE in TOKYO」として開催したが、「前回よりブラッシュアップした」と強調しており、肉系メニュー以外にも魚や乳系メニューもバランスよく取り入れた。
特に注目は、大豆由来の「ソイウニ」だ。不二製油グループ本社の鈴木清仁執行役員PBFS事業部門長・不二製油たん白事業部門事業部門長は「ソイウニ」の開発について、「ボディ感と濃厚感が特長だ。さらにザラっとした食感、モロっとした食感が合わさってウニと感じる。なめらかにするとウニと感じなくなるため、乳化させすぎないで寸止めの状態にするのがポイントだ。中途半端な食感を工業的に作り出すのは苦労した」と振り返る。
不二製油グループ本社 鈴木事業部門長、岡本グループリーダー
今後の「ソイウニ」の展開については、「工場の現場のテストも終わり、いつでも提供できる状態で、サンプルワークを始めている。BtoBでの展開を考えており、まずは価値を認めてもらう。年明けから本格的に、ホテル、レストランの採用を目指していく」としている。
〈1社だけでさまざまなメニューを提供できる強み、日本らしさの発信が大事〉
鈴木事業部門長は同社のプラントベースドフードの強みについて、「大豆ミート素材は鶏肉、豚肉、牛肉タイプなど60種類以上のバリエーションがあり、お客のニーズに合わせて提供できる。粒状大豆たん白で50の圧倒的なシェアを持っており、安定した品質も強みだ」と説明する。
同社はこれら素材型の事業のみならず、ハンバーガーのパティといった加工食品事業も展開している。「アプリケーション開発にも力を入れており、肉だけでなく海産物や、デザートに使えるバター、チーズなど、1社だけでさまざまなメニューを提供できる」と強調する。
2021年2月には、一風堂と植物性とんこつ風ラーメン「プラントベース赤丸」を開発した。不二製油の「MIRACORE(ミラコア)」という新技術でスープベースを表現したという。「これまではBtoBで黒子のイメージだったが、いいものを作っていることを前に出していく」と自社ブランドの展開にも意欲を見せる。
ウニ以外の海産物のプラントベースドフードの開発については、「海産物の人気ランキングにも入っているツナは考えている。突飛なものをやっても仕方がない。付加価値の高いものか、一般に普及しているものとなり、ツナ以外ではエビやイカなどになってくる」と述べた。
プラントベースドフードの今後の普及については、「前提としておいしくないと駄目だ。動物性にあって植物性にないのは何かを考えてきた。動物性はたん白質と油が組み合わさって脳がおいしいと感じる。植物性でたん白と油脂を合わせることが、製品づくりのポイントになる」と述べた。
一方で、「植物性由来のおいしさも訴求していかないといけない。肉、魚の馴染みのあるメニューでも、大豆らしい植物性が残っているのがベストと思っており、開発でも注力している。本物のウニは磯の臭みが苦手という人もいるが、『ソイウニ』は品質が一定で、後味がすっきりしている点を楽しんでもらいたい」と述べる。また、「欧米でプラントベースドフードが流行っているからハンバーガーというのではなく、日本らしさを発信していくことが大事だ。ラーメンはしっかり取り組んでいく。
2021年3月に『Plant Based Lifestyle Lab』を立ち上げた。オール日本で日本らしさが何かを考えていきたい」と述べた。
〈大豆油糧日報2021年10月8日付〉