アメリカ大豆輸出協会「大豆とサステナビリティへの関心を再確認」/USSEC・立石雅子日本副代表インタビュー

アメリカ大豆輸出協会(USSEC)・立石雅子日本副代表
――今年1年の活動を振り返って

コロナの影響で、USSECも支援している豆腐や納豆の業界団体が主催するイベントが開催できなかった。一方で「サステナビリティキャンペーン」という大規模な広報活動を展開し、ビジネス・ファッション誌、健康・エコ関係の雑誌などで、情報発信を行ってきた。掲載誌はUSSECのホームページのデジタル版で閲覧できる。

9月にオンラインで開催した「大豆の拓く持続可能な未来」をテーマにしたサステナビリティシンポジウムには、想定の3倍ほどの1300人近い参加があり、大豆とサステナビリティに関心が持たれていることを再確認できた。こういったシンポジウムを通して、米国大豆の生産のサステナビリティに関する「大豆サステナビリティ認証プロトコル(SSAP)」について活用してもらうことを目指していく。サプライチェーン全体を通してサステナビリティへの意識を強めてもらうとともに、大豆の素晴らしさや、伝統食品でありながらプラントベースの素材としても使えることを発信することで、より多くの事業者が大豆を使った製品を作ろうと思ってもらえれば、業界の発展にもつながる。

同イベントは、アンケートで95%以上がもう1回開催してほしいと回答しているので、来年も取り組んでいきたい。海外からも7~8カ国から60人近くが参加しており、日本の企業の取り組みや製品開発の考え方などがすごく勉強になったという声が多かった。

12月には、SSAP認証に取り組んでもらっている日本のメーカー2社を選び、「米国サステナビリティ感謝賞」を授与する。

――Non-GMO不使用表示の厳格化に向けて原料大豆の表記例提案を作成しました

2023年4月からの法改正に向けて、原料大豆の30kgバッグやIPハンドリングの書類にもNon-GMOの表示があることから、対処が必要と考えていた。全国穀物商協同組合連合会(全穀商連)の理事長を務める互明商事の林英伸社長と消費者庁に伺い、IPハンドリングの書類や種子証明なども確認してもらったが、商品パッケージが法改正の対象で、原料は規制の対象外ということだった。

ただ、消費者の目に直接触れなくても、町の豆腐店には原料バッグを置いており、非遺伝子組換えという表示が目に留まれば混乱を招きかねない。消費者庁に何らかの文書を依頼したが、業界内でまとめるという流れになった。互明商事は全穀商連会員企業に、USSECは豆腐や納豆の業界団体や油糧輸出入協議会に話を聞いた上で文書を作成し、消費者庁からの助言も反映した。今後は英語に翻訳して、USSECの会員サプライヤーとも共有していく。

〈ウェブサイトの刷新やレシピ動画を作成、世界に向けた日本の豆腐の映像も〉
――来年予定している取り組みを

今年実施して反響の大きかったサステナビリティキャンペーンを中心に、情報発信に取り組んでいく。全国納豆協同組合連合会の納豆鑑評会は中止が決まったが、全国豆腐連合会は豆腐品評会を開催するので、「米国大豆サステナビリティアンバサダー賞」を2年ぶりに授与することができる。

年始には、サステナビリティを中核に置いた内容にウェブサイトをリニューアルする。ミレニアル世代を対象にした大豆とサステナビリティに関する動画も作成したので、公開する予定だ。「サステナブルソイフード」というテーマで、大豆のレシピ動画も大量に作成している。このように、大豆とサステナビリティをより結び付けて考えてもらえるような、さまざまな施策を考えている。

USSECでは昨秋に、海外の食品担当同士が連携することを目指したミーティングを開始したが、日本の豆腐製造技術や製品に関する情報が欲しい、連携したいという要望があった。コロナ禍ということもあり、まずは世界に向けて情報発信できる日本の豆腐動画を業界関係者の協力を得て、1~2月に完成させる。

〈大豆油糧日報2021年12月20日付〉