「変わらず」半数以上、〝悪い状況続きそう〟意味合い強く 弊社景気見通しアンケート
食品関連業界のトップの半数以上は今年の我が国及び自業種の景気について「変わらず」とみている。ただしその内容は『悪い状況が続きそう』という意味合いが強い。その一方で、自社見通しについては「やや良くなる」が前年を上回る64%と高い比率であり、「なんとしても自社の業績を向上させる」という意気込みが伝わってくる。経営者層を対象とした本紙新年号アンケートの結果だ
新年景気見通しアンケートは昨年12月中旬までに食品関連企業のトップに書面で回答していただいた。本紙各新年号に順次掲載しているもので69人から回答を得た。回答者の業種内訳は食品メーカー52社(外食含む)、その他(流通・小売・商社、機械・資材等)が17社。今回は12月14日の総選挙前の締め切りで不確定要素が多いにもかかわらずご回答いただいた皆様に紙上で御礼いたします。
我が国の景気全般については「やや良くなる」は32%(前回47%)、「変わらない」は65%(同47%)、「さらに悪くなる」が3%(同4%)、と前回よりも「やや良くなる」が減少した。その分「変わらない」が増加した。しかし、その内容は「円安で輸出企業が好調」が主な理由で、逆に原材料アップや消費増税での節約志向強化というマイナス面もある。前者が有利に働くと考える人は「やや良くなる」に、相殺されるとみる人は「変わらない」と答えたようだ。
自業種の景気予測で目立つのは、「さらに悪くなる」が30%(前年26%)を占めたこと。その理由では「円安で輸入原料価格が高騰」「コストアップ分の転嫁が難しい」「個人消費は低迷」「企業間競争が激化」などを挙げている。「変わらない」の51%についても同様な理由を挙げており、「厳しさが変わらない」ととらえた方がいい。
また「やや良くなる」は19%を占めた。消費増税延期や価格改定効果をあげる人の他、大麦に注目、練り製品は拡大などプラス材料のある業種もみられる。
次に自社の業績予想については「やや良くなる」が63%で前回の51%を上回った。「悪くなる」は2%(同9%)でほとんどない。経営トップの予想であり、目標や希望も含まれているようだ。実際「新商品・新チャネル拡大」「コスト削減」「価格是正」「ブランド力強化」など希望ともとれる回答が多い。そうした中、「海外事業が拡大」など海外では着実な成長を見込んでいる回答もみられた。
また今年度の経営課題について聞いた。生産性向上とコスト削減、新商品開発、価値創造とブランド育成などに加え、全部署の連携強化や仕事環境づくりと社内のソフト面の充実策をあげる経営者が見られた。一部の食品事故を受けてのものかもしれない。
弊紙の新年号のテーマである「製配販一体で新価値創造へ」に関連して、具体的に市場拡大・新規ユーザー獲得に効果のあった商品、マーケティングなどを挙げてもらった。商品名は掲載した各氏のアンケートに譲るが、具体な成功例を示す回答が意外に多かった。確かにヒット商品は新価値創造を伴い、新規ユーザーを獲得することが多い。
今回も消費者ニーズを掴むために必要な高付加価値商品の開発キーワードを16項目から選択してもらった。複数回答で平均5・9個の回答があり前回の6・5個をやや下回った。結果は図2の通り。上位3点の順位は食品としては当然なことなので6割以上となったが、「健康」がやや増加した結果、トップになった。「安全性」「おいしさ」はあまりに当然なので、あえてチェックしないメーカーもあった。また目立つ動きとして「斬新性」が7P増となった。「メニュー提案」については、各社が提案するメニューを気に入った消費者は該当社の製品(調味料、加工食品など)を使いレシピ通り調理するといわれる。このため、新製品開発のキーワードとして重要視されるようだ。