食品メーカー100社の中間期決算 増収88社、増益67社
上場食品メーカー100社の中間期決算は前年の消費増税後の消費減退がベースにあることもあって売上高増収は88社と26社の増加、総売上高は前年比8・1%増、営業利益も増益67社と好調だった。通期の売上げ見込みは6・2%増と勢いを継続する見込みだ。特に大手では海外売上げが好調なことと、為替の影響がプラスに働いており、全体を押し上げた。平均営業利益率は4・32%と前期比0・75ポイント上昇した。(連結決算の一覧表は3面掲載)
本紙は上場企業のうち16年3月期第2四半期決算(一部1月及び2月期)実績を集計した(連結85社、非連結15社、合計100社)。
連結ベース(非連結含む)で見た売上高は増収が88社で前年の62社から26社の大幅増となった。減収はわずか12社と25社減少した。100社の合計売上高は8兆3432億円で前年比8・1%増。前年の3・2%増加に比べて5ポイント(P)近い増加となった。なお単純に合計したため、海外部門や食品以外の分野が含まれるし、連結対象子会社の増加や一部連結子会社の2重カウントがある。
昨年の第2四半期は4月の消費増税により3月までの駆け込み需要の反動が4月以降に表れた。業種によっては6月くらいまで影響が出たともいわれた。今期はその期間がベースになっているので、8%という大きな増加となった。
ただ食品メーカー大手は少子高齢化、人口減社会を背景にアジアなど海外シフトを強化しており、その海外売上が好調なこと、さらに米ドルに対する円安により邦貨換算での増額という要因もある。それでも09年の値上げラッシュ時の5・3%を上回る伸びであり、国内食品も価格改定効果とも併せ一定の成長が認められる。
また通期売上予想の合計は16兆7456億円で6・2%増。下期だけなら4・4%増であり、上期ほどではないにしても下期もある程度の売上増を計画している。
一方、利益面は大きく改善している。営業利益増益は67社で前年の33社に比べ倍増、減益は24社にとどまった。赤字企業は9社と2社減少した。経常増益は61社を数える。
前年までのドルに対する円安は継続しているが、輸入原料価格の落ち着きと原油などエネルギー価格の低下、さらに各企業の価格改定やコスト削減策が奏功したものとみられる。ただデフレは継続しており、為替や原油価格が変化すれば、いっぺんに厳しい環境に戻ることも考えられる。
全社平均の対売上高営業利益率(営業赤字もマイナスでカウント)は4・32%で0・75P上昇した。これまで10~11年の4%前半が比較的高かったが、それを上回る実績となった。一般的には製造業の営業利益率は5%が適正水準といわれており、それに近づいた。ただ、売上トップ20のそれは4・49%で規模による差はあるようだ。
業種別に見ていく。製粉・小麦粉関係の10社合計売上高は7・0%増。食用油7社の合計売上高は1・6%増。ω3など話題はあったが値上げなどで売上の増加率は小さかった。営業利益率は4・27%に低下。
調味料は最大手の味の素が内外の売上好調に加えAGFなど内外の連結子会社増加で大幅増となったことから、合計売上は15・9%増。キッコーマンなど他社も好調な企業が目立つ。畜産10社も食肉の相場高などで1社を除き増収、合計売上は13・4%増。ただ営業利益率は2・59%と依然業界平均を下回る。
飲料は夏季の天候不順の影響を受けて合計売上高は3・8%増と低い伸び。菓子は大手3社が好調で合計売上高は7・3%増、営業利益率も6・22%と高水準。