景気見通しアンケート、「変わらない」6割以上、自社業績向上への回答多数

食品関連業界のトップの6割以上は今年の我が国及び自業種の景気は「変わらない」とみている。ただしその内容は『中国景気など不透明感が強い』ことや『厳しさが続く』という意味合いが強い。その一方で、自社見通しについては「やや良くなる」が前年とほぼ同様の61%と高い比率であり、「なんとしても自社の業績を向上させる」という意気込みが伝わってくる。経営者層を対象とした本紙新年号アンケートの結果だ。

新年景気見通しアンケートは昨年12月中旬までに食品関連企業のトップに書面で回答していただいた。本紙各新年号に順次掲載しているもので54人から回答を得た。回答者の業種内訳は食品メーカー38社(外食含む)、その他(流通・小売・商社、機械・資材等)が16社。ご回答いただいた皆様に紙上で御礼いたします。

我が国の景気全般については「やや良くなる」は19%で(前回32%)、「変わらない」は77%(同65%)、「さらに悪くなる」が4%(同3%)と「やや良くなる」が大きく減少した。その理由をみると、国内景気は緩やかな回復基調と判断している人は多いが、中国景気など海外の動きが不透明で、結果として「変わらない」が増加し、「やや良くなる」が減少した。我が国の景気が輸出産業に左右されることを示すものだ。

自業種の景気予測について図1に示した。こちらで目立つのが「さらに悪くなる」が昨年の30%から15%に減少したこと。昨年は急激な円安でコスト上昇が大きな理由になっていたが、昨年内に価格改定が行われたこと、円安は継続しているが穀物や原油価格が低下していることなどから、悪くなるという見方は半減した。一方、原料コストの低下や個人消費の増加などをあげて「やや良くなる」と見る人が20%いるが、多くは競争激化や節約志向の継続で「厳しさは変わらない」とみている。

次に自社の業績予想については「やや良くなる」が61%で前回の63%とほぼ同様。「変わらない」が39%(前回35%)で「悪くなる」はゼロ(同2%)。経営トップの予想であり、目標や希望も含まれているようだ。実際「新商品・新チャネル拡大」「コスト削減」「商品価値向上」など希望ともとれる回答が多い。そうした中、「海外事業が拡大」と好調さをアピールしたり、具体的ヒット商品をあげている回答もみられた。

また今年度の経営課題について聞いた。収益基盤の構築、生産性向上とコスト削減、価値ある新商品開発などが見られた。また、好調分野をさらに伸ばしていくという回答もあった。

弊紙は新年号の統一テーマとして「メーカーから“サービス産業”へ」を掲げ、需要創出への道を探ったが、アンケートでは需要創造の成功例(商品、マーケティングなど)を挙げてもらった。商品名は掲載した各氏のアンケートに譲るが、具体な成功例を示す回答が意外に多かった。確かにヒット商品は需要創造を伴い、新規ユーザーを獲得することが多い。

今回も消費者ニーズを掴むために必要な高付加価値商品の開発キーワードを16項目から選択してもらった。複数回答で平均5・3個の回答があり前回の5・9個をやや下回った。結果は図2の通り。上位3点の順位は食品としては当然なことなので7割以上となった。「安全性」「おいしさ」はあまりに当然なので、あえてチェックしないと思われる回答もあった。また目立つ動きとして「機能性」が年々増加し6割を超えた。昨年4月に機能性表示食品制度がスタートしたことが影響しているようだ。逆に「簡便化」「メニュー提案」「小容量化」などは減少した。