主要食品メーカー3月期決算、上位企業の多くが増収増益
主要食品メーカーの2016年3月期(15年度)決算が出揃った。上位有力メーカーのほとんどがヒット商品や値上げ、さらに海外事業の好調さ、米ドルに対する円安、大型案件の連結子会社化などで増収となり、単純な売上げ合計は14年3月期の5・7%増を上回る5・8%増となった。また、営業利益の増益企業は前年度に比べ23社増の73社となった。対売上高営業利益率は4・48%と最近では最も高くなった。個別要因は様々だが、売上増に加え原油安がプラスに作用した。
本紙は上場企業のうち16年3月期決算(一部1月及び2月期)の企業の決算を集計した(連結84社、非連結16社、合計100社)。15年度決算をみると、増収企業は14年度の68社を16社上回る84社を数えた。営業利益も増益73社に対し減益24社、赤字2社と順調に推移した。しかし17年3月期売上予想は全体で2・6%増と慎重だ。
連結ベース(非連結含む)で見た合計売上高は16兆8664億円。前年比較ができる企業だけでは5・8%増。単純に合計したため、海外部門や食品以外の分野が含まれるし、一部連結子会社の2重カウントがある。
15年度の5・8%増は13年度の5・7%増を上回り、ここ10年では最も大きい伸び率となった。13年度は原料高騰による値上げ、円安による海外事業の円貨でのかさ上げ、消費増税前の駆け込み需要などが要因だったが、15年度はヨーグルトや調味料、小麦粉製品などのヒット商品があったこと、値上げが行われたことなどが好調な要因として挙げられる。さらに大手に限るが、海外事業が好調なこと、年度前半の米ドルに対する円安効果、大型案件の連結子会社化なども挙げられる。
上位50社中、減収企業はわずか4社であり、大手の好調さがはっきりわかる。なお為替は米ドルに対して年間で10円程度の円安だが、ユーロに対しては数円の円高であり、各社の主力地域によって為替の影響はまちまち。さらに2月以降の円高で第4四半期はむしろ為替の影響はマイナスに作用している。
一方、利益面も非常に好調だった。表に営業利益の推移を示したが増益企業は73社(前年50社)、減益企業は24社(同43社)、赤字2社(同6社)。ここ10年では原料価格の安定・低下によって原価率が大幅に改善された10年3月期に匹敵する好調さとなった。
15年度の営業利益が好調だったのは、まず売上増による効果が大きい。加えて原油価格の下落による燃料価格の安定、若干の円安下ながら穀物等の国際価格の安定、コスト削減策の効果などがあげられる。為替の影響も米国での展開が強い企業にはプラスだった。
また食品メーカー全体の対売上営業利益率を計算すると4・48%となる。前年の3・87%から0・60ポイント上回った。全産業レベルから見ると決して高い値ではないが、11年の4・00%を超えるここ10年では最も高くなった。
17年3月期(16年度)売上予想の総額は2・6%増(合併する伊藤ハム米久HDの16年度実績は両社の合計)。16年実績に比べて非常に慎重な見方となっている。ヒット商品や値上げの影響が薄れること、依然として節約ムードが継続していること、さらに円高による海外売上の円貨換算への影響もあってのことか。
業種別に簡単に見ていく。製油関連7社の売上合計は前年比1・4%増。大豆ミールの値下げが影響して低い伸びにとどまった。製粉・小麦粉製品関連の売上は5・2%増。全社営業増益と好調だった。畜産関連の売上は大手のM&Aもあって9・5%増。ただし平均営業利益率は2・7%と業界平均を下回る。調味料関連の売上は最大手の味の素やキッコーマンなど上位が好調で12・1%増。菓子は全体的に好調で増収増益が目立つ。