FF、FRで盛況「ちょい飲み」 明るさ、安心感、敷居の低さに飲む客

ファーストフード(FF)、ファミリーレストラン(FR)を中心に気軽に1、2杯を楽しむ「ちょい呑み」需要の獲得が盛況だ。FRで飲酒を楽しむ「ファミ呑み」、1人でサクッと済ませる「サク呑み」など様々な造語も生まれるなど活況を見せている。ここにきて大きな盛り上がりを見せるけん引役は吉野家。今春、2階建て店舗の2階部分を活用した「吉呑み」をスタートさせており、リンガーハットも追随した。ケンタッキーフライドチキン(KFC)でも7月下旬から一部店舗でビールの提供を開始するなど、ビールの本格需要期まっただ中、新規参入が相次いでいる。(関連特集4、5面)

「夜間の売り上げ確保が狙い」-。吉野家は「ちょい飲み」に参入した背景をこう語る。他社のFFチェーンを含め、外食チェーン繁華街店舗の客数は、かつて高回転見せていた高度成長期と比較すると、人口減や少子高齢化を背景に半分まで落ちている。特にオフィス街立地の店舗では、ディナー時間帯の客足の落ち込みが、慢性的な課題としてある。

同じく2年前から本格的に「ちょい飲み」サービスを開始した「天丼てんや」を運営するテンコーポレーションは、ランチに続きディナー時間帯にも売り上げの〝こぶ〟を作ろうと参入、賃料や人件費のコストがかさむ駅前立地やオフィス街の店舗収益改善にも貢献している。「ちょい飲み」サービスの投入は、売上高・客数・客単価の増加に加え、コスト改善と好循環を生み出す起爆剤といえそうだ。

一方、先行してアルコール需要に取り組み、FRのアルコール強化では先駆者とも言えるすかいらーくでは、FF、FRにおける「ちょい飲み」の広がりを、明るさや安心感、敷居の低さが〝ちょっと〟飲みたい客を引き付けていると分析する。