エキマルシェ新大阪 会社帰りの一杯利用で好調

今年3月4日、関西の玄関口となるJR新大阪駅の在来線改札内にエキナカ商業施設「エキマルシェ新大阪」が開業した。運営するジェイアール西日本デイリーサービスネットによると、「想像を超えるお客に利用され売上げ好調」とし、8月末時点で施設全体の売り上げは、計画比20%増で推移している。アサヒビールやサントリースピリッツの飲酒可能な業態を中心に、「会社帰りの一杯の利用が多い」といい、両店とも女性客の取り込みに成功している。また、がんこフードサービスの回転寿司店や松葉総本店の立食形式の串カツ専門店では、新幹線や自宅で食べられるテイクアウトも好評のようで、売上げ増に寄与している模様だ。

エキナカ商業施設「エキマルシェ新大阪」は、宝塚、大阪に続く3番目の「エキマルシェ」となる。施設コンセプトを「さっと立ち寄り15分でプチ満足 大人がわくわくする、気の利くエキナカ」とし、Ⅰ期開業では土産、飲食、駅弁、スイーツ、フードなど26店舗が出店。そのうち7店舗を新ブランド、11店舗をエキナカ初の店舗で固めた。

今後控えているⅡ期、Ⅲ期店舗の開業でグランドオープンとなり、JR西日本エリアの改札内商業施設の延床面積で最大規模となる。

Ⅰ期オープンで注目を集めたのは、アサヒビールが全国で初出店した新スタイルの直営ビアバー「VIA BEER OSAKA(ヴィア ビア オオサカ)」と、サントリースピリッツが全国初の常設店舗として出店したバーボンウイスキー「ジムビーム」のパイロットショップ「JIM BEAM BAR」だ。

ほかにも飲食可能な業態として、がんこフードサービスの「回転寿司・エキマルシェ新大阪店」や、大阪で親しまれている老舗の松葉総本店が立食形式の串カツ専門店を出店している。

エキナカの魅力の一つとして、車の運転の必要がなく、気軽に飲酒できることが挙げられる。ジェイアール西日本デイリーサービスネットによると、「会社帰りの1杯でお酒を飲める店の利用シーンが多い」。概ねどの店舗も好評だが、ビジネスマンを中心に「ヴィア ビア オオサカ」や松葉総本店の利用が目立つという。定番のお土産や駅弁、関西名物のお店なども含めて、「電車の乗り換えの短時間でも利用できるのが支持されている」としている。

アサヒビールの直営ビアバー「ヴィア ビア オオサカ」は、吹田工場で製造された商品を中心に提供しており、女性だけでも気軽にビールを飲みに行ける店舗を目指した。客単価は2000円ほどで、8月までの平均月商は1180万円と目標の900万円を上回っている。女性客が3~4割で、一人での来店も見られるなど、「女性のお客も狙い通り来てもらっている」(同社)。駅中の出店については、「これまでお酒の飲める店舗の出店は繁華街が多かったが、駅にシフトしている傾向がある。今後も駅中は注目」(同社)とする。

サントリースピリッツの「JIM BEAM BAR」は、サントリーホールディングス広報部によると、ハッピーアワーやハイボールキャンペーンなどの実施もあり夏場は好調に推移しており、「売上げ、客数とも順調に増加してきている」。客層は30~40代のビジネスマンが多いが、「『JIM BEAM』 のターゲットである20~30代の若い世代や女性の利用も取り込めている」。

がんこフードサービスの回転寿司は、「オープン以来好調でテイクアウトが多く出る」(同社)。改札内店は回転が速いため、改札外店と比較すると客単価は少し低くなるが、持ち帰り需要がそれを補う。

松葉総本店の「松葉」も、他店舗では実施していないテイクアウト専用の「エキマルシェ新大阪限定セット」を用意。新幹線内で缶ビールと一緒に楽しまれたりもしているようだ。