外食上期決算 増収営業増益企業 1社減の19社
◎台風・リオ五輪で客足鈍る
外食企業62社の16年度上期決算が出揃った。増収営業増益企業は前年同期より1社減の19社で、前期から続く、労働力不足に伴う人件費の高騰、原材料価格の高止まりや物流費の上昇、コンビニやスーパーの中食など業種の垣根を超えた顧客獲得競争の激化が、各社の収益を押し下げた。円高によって輸入食材の価格は下がったものの、相次ぐ台風の上陸と集中豪雨、リオオリンピックの開催が、客足の鈍化に繋がった。
本紙は上場外食企業62社の2017年3月期第2四半期決算(2月期第2四半期決算含む)をまとめた。外食以外を主力に展開する企業もあるが、連結ベースで単純に比較すると、増収は62社中34社(前年同期61社中42社)だった。営業利益は増益24社(うち黒字転換は2社)、減益27社、赤字11社。前年同期は増益24社、減益22社、赤字10社となっており、前年より減益が5社、赤字が1社増え、より厳しい決算となった。
トップのゼンショーホールディングスは、主力の牛丼チェーン「すき家」の既存店売上高が前年比3・5%増と好調だったことでトータルの売上高も増加。円高影響により牛肉価格を中心とする食材仕入れコストが低減、電気料金の値下げなどからエネルギーコストも低減し当初予想より、各利益は大きく拡大した。
同じく牛丼チェーンを主軸に展開する吉野家ホールディングスは、「吉野家」やうどんの「はなまる」など主要セグメントで増収を果たしたものの、人件費及び出店費用の増加により減益で着地。一方、松屋フーズの既存店売上高は2・6%増となり、牛肉を筆頭に主要食材の仕入れ単価も低下傾向にあったため、利益を押し上げた。
売上2位のコロワイドは、オリンピックの開催や天候不順などが響き、客数が大きくダウンした。トータルの既存店売上高も6・4%減となり、「カッパ寿司」(既存店売上高8・0%減)、「ステーキ宮」(同11・0%減)の大幅な落ち込みが響いた。8月に実施した「カッパ寿司」のリブランドを効果から10月度は持ち直しを見せており、通期既存店売上高は、前年並みでの着地予想だ。
ファーストフードについては、天候不順などが影響し日本KFCホールディングスの「ケンタッキー」の既存店は前年割れ。続く、モスフードサービスの「モスバーガー」は、既存商品のブラッシュアップと地域限定商品など新商品が奏功し、1%増で着地した。また、うどんの「丸亀製麺」が主力のトリドールホールディングスは、「タル鶏天ぶっかけうどん」など高単価フェア商品に加え、併売商品を充実させ 構成比をアップさせたことで、客単価が大きく拡大。台風影響のあった8月は前年割れとなったが、7月時点まで既存店売上高は24カ月連続で前年を上回った。
その他、好調に推移した業態としては、カフェ業態が挙げられる。「ドトールコーヒー」を展開するドトール・日レスホールディングスと、6月に東証一部に上場した「コメダコーヒー」のコメダホールディングスは、ともに高水準の営業利益率を誇り、増収増益で着地した。ドトール・日レスホールディングスは、既存店は前年割れもドリップコーヒーの販路および取引先の拡大、CVsを中心にチルド飲料が好調に推移するなど卸売事業が堅調に推移したことで、トータルの売上高は増加。コメダホールディングスは32店舗を新規出店し上期末時点の店舗数は708店まで拡大した。1000店舗体制を視野に確実な出店を重ねた。
居酒屋では首位のワタミが回復の兆しを見せた。売上高は前年同期より減少したものの、各利益における赤字幅が縮小。通期では営業損益、経常損益とも黒字転換の見通しだ。既存店売上高の底上げを目的とし、上期に85店舗の業態転換を実施したことが奏功し、上期累計の既存店売上高は1・8%増で着地した。「和民」リニューアル業態である唐揚げの「ミライザカ」、「わたみん家」リニューアル業態である焼鳥の「三代目鳥メロ」の成功が売上に寄与した。