極洋、17年度に売上高2,600億円、営業益50億円、海外売上10%
極洋は30日、2015年度~2017年度の中期3カ年経営計画を発表した。東京五輪が開催される6年後を見据え、その中間目標として売上高2,600億円、営業利益50億円、経常利益50億円、海外売上高比率10%など–を目指す。そのうち冷食事業の計画は売上高820億円、営業利益10億円と設定している。
次期中計は「バリューアップ・キョクヨー2018」と名付けた。基本方針として掲げたスローガンは「魚に強い総合食品会社として、収益基盤の安定と変化への対応力を高め、新たな価値を創造する企業を目指す」。6年後(2021年3月期)のあるべき姿として、売上高3,000億円、営業利益60億円を想定し、当中計をその中間到達地点として取り組むとした。
「当社は現中期経営計画期間において家庭用冷凍食品事業に本格的な参入を行うなど、事業の裾野を広げつつあるが、今後は『魚の極洋』として、水産商事事業を一層拡大し、当社の事業基盤を確固としたものにする一方で、業務用及び家庭用の冷凍食品、常温食品といった加工食品事業の拡大・強化のスピードを早め、収益の安定化を進めることが重要となる」として、現中計の「グローバル戦略」「シナジー戦略」を進化させるとともに、新たに「差別化戦略」を加えた、3つの戦略の方向性を示している。
「グローバル戦略」として、国内マーケットの拡大をさらに進めるとともに、世界的な水産物需要、和食の世界遺産登録、円安トレンドを背景とした海外販売戦略を強化する。供給側面においても、東南アジアを中心に海外生産拠点の分散・拡大を進める。
「シナジー戦略」として、調達から加工、販売までのグループネットワークを基盤として、グループ企業間で補完し合い、総合力を発揮していくことで極洋グループ全体規模の拡大・利益の最大化を図る。グループ外のステークホルダーとも相乗効果が発揮できる取り組みを行っていく。
「差別化戦略」として、シーマルシェブランドやだんどり上手シリーズの取扱い強化により、同社ならではのこだわりを持つ商品の拡充を進めるなど、お客様目線を意識した付加価値商品の開発・提供による差別化を図る。「安心、安全、おいしい、健康」をキーワードに、新たな価値を提供していく。
セグメント別施策として、冷凍食品事業では「業務用に加え家庭用の拡大により、事業規模の拡大を進める。また水産商事事業との協業による原料から加工・販売まで一貫体制の強化、2015年度竣工の塩釜新工場を活用した即食食品など付加価値商品の製造・販売、更には生産拠点の最適化を図るべく、東南アジアを中心とした海外生産拠点の分散・拡大なども進めていく」としている。
そのほか、水産商事事業では質の高い水産物の安定供給維持に努めるとともに、国産魚など取扱い魚種の拡大、海外拠点の拡充と海外マーケットの積極的な開拓を行う。鰹・鮪事業では加工販売として、国内外の生産拠点の整備拡充、海外への販路を拡大、海外まき網事業として効率的運航や鮮度を重視した凍結処理などで付加価値品の生産に努める。養殖事業では「本鮪の極」のブランド強化、クロマグロ完全養殖の事業化に向けて安定供給体制を構築する。
常温食品事業では缶詰は独自性のある商品開発、ECサイトの活用などによる事業規模拡大を、珍味加工品はアイテム拡充のためグループ全体で効率的な生産体制の構築を図る。