石巻新工場設立の決断が復興への一助に/マルハニチロ伊藤社長
マルハニチロは19日、宮城県庁で新工場建設に関する協定を宮城県及び石巻市と締結した。同社は現石巻工場(宮城・石巻市門脇町)を移転し、石巻市須江地区に17年4月稼働の冷凍食品新工場を建設する(既報)。
協定締結式にはマルハニチロ伊藤滋社長、同横手貞明代取専務、宮城県村井嘉浩知事、石巻市亀山紘市長が出席した。3者による協定書への署名後に記者会見が行われた。
伊藤滋社長は大要次のようにあいさつした。「当社は歴史的に東北との関わりが強く、多くの基幹工場を保有してきた。東日本大震災後は地域経済への貢献策を考えてきたが、今回の決断が復興への一助になればと思う。新工場は17年4月の稼働開始を目指し、冷食の基幹工場として建設する。当社は46年以来石巻市門脇地区で操業してきたが大震災で被災し、大幅に規模を縮小、震災前の約4分の1の規模で操業を継続している。しかし、門脇町は国の復興計画によりスーパー堤防計画地区に含まれ、同地区での操業は困難になった。移転し、生産能力を増強し、再び東の拠点として新たな工場を建設したい。新工場はフライ類中心の調理冷食工場。年間6,600t、売上高66億円を見込む。敷地面積1万5,000坪強と今後の商品カテゴリーごとの国内生産拠点集約に伴う生産ライン増強に対応する十分な拡張スペースを確保し、あらゆる環境変化に対応できる。
“働く人のために”をコンセプトとする工場の特徴は4点で、①従業員一人あたりの生産性を1.5倍に生産性向上②省エネルギー・環境対応の冷凍設備の導入③食品の安全安心のための品質管理とフードディフェンス④大震災で気仙沼工場を焼失したヤヨイサンフーズの技術力とマルハニチログループの技術力を加えた商品力強化だ。
石巻市では70年近い地元の人とのつながりを含め、引き続き安定的雇用、地域貢献を目指す。新工場の従業員は190人を予定、地元雇用の推進のほか大震災を境に日本各地に移動を余儀なくされた当社グループ従業員の東北帰還の道を開き、希望を募りたい。当社グループ86人(家族含む)の犠牲者に寄り添い、残された人々と地域の復興に貢献したい」。