一昨年水準クリアへ業界全体のモメンタム戻したい、売場提案に注力/味の素冷食吉峯社長
味の素冷凍食品は2日、15年秋季の冷凍食品新商品の記者発表を行ったが、吉峯英虎社長は冒頭、近況と取り組みの考え方について説明した。
「食市場は変動している。少子高齢化、女性の社会進出、円安、原料高など環境は変化し、外食、中食、内食の垣根もだんだん無くなり、小売業ではGMs、sM、CVsも同様で、宅配も入り、業際の見方が難しくなっている。また、都心部と地方のスーパー間の格差が人口増減などにより広がっていることもあり、チェーンストアのコンセプトが少しずつ変わらざるを得ない状況にある。
その中で冷食市場は、業務用は外食、給食、惣菜ごとの業際がかつては分かりやすかったが、今はジャンルが明確でなくなり安定していない。家庭用はこの1~2年で特売打ち方が変わり、異物混入問題やマスメディアによる刺激も以前より落ち、消費増税の問題を含めて一昨年から昨年にかけてはネガティブな影響があった。
それが一巡した今の段階では、一昨年の水準をいかにクリアするか、業界全体が元のモメンタムに戻す視点が必要ではないか。スーパーはこの間、冷食売場が拡大してきたが、大きな成果はなく、品ぞろえや売場での楽しさ作りの面で、我々が提案貢献しきれていないように思う。
今秋は、バリューが冷食で市場化されていなかった領域にいかに新たなバリューを提案するかポイントになる。春には『汁もれしない』シリーズを弁当カテゴリーで提案したが、今回の『ザ・チャーハン』は今まで市場にない美味しさの炒飯の提案である。また冷食の消費食数が増える中で、商品のグラム単価、ボリュームあたりの単価をいかに上げていくのか考えていく必要がある。売り方が変化している中で、新たな刺激策、つまり売場全体がワクワクする楽しい売場をどう作るか、今すべき提案は冷食にとっての好機であり、我々も責任をもって応えたい。
海外事業は昨年、米国のウィンザー社を買収し、今年4~6月は順調。日本食の提案もあるが、日本の冷食技術が他国より優れていることの表れ。我々はそれを生かして商品化し事業化するかする。最初の四半期は好スタートを切った」。