2015年上半期の凍菜需要動向、円安の逆風も輸入数量は堅調

2015年上半期の冷凍野菜の需要はおおむね堅調に推移している。国内供給の9割を賄う輸入品は円安の逆風の中にあってほぼ前年並みの数量で推移した。また家庭用を中心に国産品の需要が高まっており、取扱い各社の業績を押し上げている。ただし今後を楽観視するのは少数派だ。第1に企業の収益面。これまで一定程度の値上げは実施できているものの、価格上昇が続いている。また社会問題化した異物混入への対応も大きなコスト要因となっている。供給面にも課題がある。最大の供給国である中国産品への抵抗感が払しょくされていない。一方で、国産品の供給には限界があるのだ。上半期の凍菜の輸入状況と各社動向についてまとめた。

財務省がこのほど発表した15年上半期(1~6月)の輸入通関実績によると、冷凍野菜輸入量は前年比1.0%減の45万6,470tとなった。2年ぶりに前年比マイナスとなったものの高水準で推移した。金額ベースでは12.6%増の930億6,001万円と大幅に増加。1kg当たり平均単価は203.9円と大幅に上昇した前年よりもさらに13.8%上昇している。

品目別の輸入状況と主要国のシェア動向をそれぞれ表にまとめた。

主要国のシェアではニュージーランドがエクアドル、ベトナムに次ぐ9位となった。エクアドルはブロッコリーの主要産地に成長しており、ベトナムはカンショを軸に今年はほうれん草、混合野菜などが増加している。

凍菜取扱い各社を対象に実施した15年上半期の概況に関するアンケート調査結果を7面の表にまとめた。

特に売上金額面の好調ぶりが目立つが、利益面は各社各様となった。値上げの実行度合も「十分」という回答は皆無で、「許容範囲」が多数を占めた。

今年の市場予想としては「横ばい」が過半数を占めた。「円安に加え、生産コスト上昇などを市場価格へ転嫁できるかどうか」という収益面の懸念のほか、「工場の生産能力・労働力不足」といった生産面の制約を指摘する意見もあった。

「政府機関が異物の定義を決め、問題が簡単に解決できるように取り計らうべき」との意見もあった。異物混入に対する社会の反応が予見できない状況があるのは確かだ。何らかの社会的コンセンサスを示していくことが業界の発展のためにも必要といえる。