極洋、新生「塩釜工場」 家庭用冷食を自社生産

極洋は9日、新生「塩釜工場」(宮城県塩釜市)を記者団に公開した。新工場は同社の強みである水産原料の調達力を生かして、取引先・生活者が求める価値ある商品に加工、提案していくのが基本コンセプトで「極洋グループのシンボル」と位置付ける。直系工場での生産は初めてとなる家庭用冷凍食品も手掛ける。

新工場は「極洋食品 塩釜工場」という。極洋食品は極洋の生産子会社。12月25日に竣工し、新棟は現在、稼動の調整段階にある。

新棟は3階建てで、製造エリアは2階・3階、各階に2ライン設置している。既存の第2工場にも2ライン設置しており(従来と製品を変え、宅配向け煮魚などを生産する)、工場全体では合計6ラインが稼働することになる。なお新工場と第2工場は原料搬入エリアで連結している。

新棟では2階で煮魚・焼魚、家庭用を生産、3階で業務用・家庭用のフライ類を生産する。冷凍機はアンモニアCO2冷凍機を採用、2階はトンネルフリーザー、3階はスパイラルフリーザーを設置している。

自然解凍商品に対応できるよう、フリーザー内は通常の清掃後に蒸気殺菌する機能を備えているのが特徴。またスパイラルフリーザーの1基には「マルチレイヤードフリーザー」を採用した。コンベアで上昇した製品を上から滑らせる通常のスパイラルと違って、製品が下まで戻ってラインに出てくるのが特徴。未油ちょうの衣付け製品の衣はがれを防ぐことができる。

3階のフライラインを視察した。クリームコロッケ、水産フライを生産する。

クリームコロッケの中種、魚のタレなどを作る加熱釜は3台設置。蒸気加熱式でうち2台には真空冷却装置を付けている。この冷却装置は煮魚などのタレ用。クリームコロッケの中具は台車でラインに移動させ、そこで冷却する。冷却後は独自の装置を使って成型機へ自動投入する。この作業が省力化を図った部分だ。

フライヤーは蒸気加熱式装置を2台設置。人を配置する場所にはすべてスポットライトを設置しているが、ここにはスポットクーラーも設置し、作業環境に配慮している。バッターは配管で供給している。

包装室は家庭用と業務用とでラインを切り替える構成になっているのが特徴(=下写真)。多品種少量生産にも対応できる体制といえる。なお包装室からはドライフロアとなっている。

多田久樹社長は「新工場は安心・安全をキーワードに建物・設備に徹底的にこだわり、明確なゾーニング、フリーザーには最新型の洗浄機能を採用した。製造設備には最新鋭・高能力の機械を導入し、従来の1.5~2倍の生産が可能となった。ローコストオペレーションの実現とともに人為的なミスを抑えることができる。生産能力は年間最大1万5,000tだが、当面は8,000tを目指す」などとした。