日豪EPA発効記念で、イオンが4日間の牛肉とワインの値下げフェア 即時関税撤廃のバルクを強化、「1本33.75円安い」価格の常態化を訴求
イオングループは15~18日、全国1,200店舗で「日豪EPA発効」記念フェアを実施する。1月15日に日豪EPAが発効されるのを受け、現地に直営農場を持つタスマニアビーフと、コルドンヴェールが直輸入する豪州産ワインの値下げを実施するもの。ともに関税が引き下げられた後の商品は早くても今週末以降の納入だが、先取りして3日間セールを行うことで、消費者に「お求めやすい価格での提供」が常態化することを周知する考え。今回の4日間のフェアでは、牛肉が6~10%、ワインは5~17%の値下げを行い、今後は豪州産の販売量増加を見込む。
前日の14日に、報道陣を集め、イオン品川シーサイド店でフェアの概要が説明された。イオンリテール取締役専務執行役員で、食品商品企画本部長の土谷美津子氏は「年末の12月20日にも先取りフェア(イオン中心の400店舗でタスマニアビーフのみ)を実施したが、大変好評だった」とし、「今回は完全に発効されるので、これを機に一時のフェアではなく、ずっとお求めやすい価格での提供を行う」ことを強調した。
タスマニアビーフは、40年前から直営牧場を持ち、イオン全体の牛肉の2割を占める(全体のうち、6割が輸入牛肉)。今回のEPA発効でこの強みを活かす考えで、3日間のフェアではロースステーキ用を10%値下げの415円(税別)で、ももかたまりを6%値下げの260円で提供する。そのタスマニアビーフコーナーに豪州産ワインを置き、相乗効果を狙う。ワインを牛肉コーナーに置くのは常だが、今回は「1/15日豪EPA発効 オーストラリア産ワインがお求めやすくなりました!」のPOPを立て、ボトルワインを並べて訴求する。
豪州産ワインの関税は15%で、EPA発効後、バルクワインは即時撤廃、ボトルワインは7年間で段階的に撤廃される。そのため当面は、ボトルワインを輸入し、日本で瓶詰めして価格訴求する考えで、今回のフェアでは、ディライトフル(カベルネ・シラーズ・シャルドネ)を約17%値下げした580円(税別)で、リトルペンギン(同)を約5%値下げした698円で提供する。
イオンでは豪州産ワインの扱いがボトルで約20種(直輸入9種)とし、バッグ・イン・ボックスが直輸入の1ブランド(3種)とする。このうち、バッグ・イン・ボックスが最もコストカットできるうえ、イオンのリカーブースは広いスペースがあることが多いため、バッグ・イン・ボックスも陳列できる強みを活かし、強化したい考えだ。ワインは店頭POPで「1本(750ml)あたり33.75円お安くなりました!」「豪州EPA発効バルクワイン完全撤廃」「ボトルワイン輸入関税15%→13.1% 段階値下げ」などの文言を強調した。今回の値下げで、年間の豪州産ワインの扱いを1.5倍から2倍に近い増加を見込んでいる。ワイン担当者は「チリが15年間で関税撤廃となっており、15%がいまは5%になっている。豪州も2~3年経過するとボトルでもメリットが出るし、品質は良いので強化していきたい」とし、「いまはどこのスーパーでもチリ中心で同じなので、将来的には豪州産も同じようになるだろうか。ただ、来年以降はユーロやアメリカでもワインの関税が動いてくることが予想され、豪州産の優位はこの2~3年かもしれない。我々としては、その時点でお客様の最もメリットになるものを提供していく考え」としている。
今後の豪州産ワインの展開として、バルクで4種を輸入し、750mlを6種、大容量を4種そろえ、「初夏には並べたい」という。豪州ワインの輸入頻度は「コンテナが月に3~4回くる」。
なお、タスマニアビーフについては、直営牧場の出荷頭数が2014年で1.6万頭とし、今回のEPA発効で出荷頭数を1割増の1.7万頭とする考え。牧場自体のキャパは「現状でも2万頭までは可能」とし、年間の売上が70億円のタスマニアビーフを100億円まで拡大する目標を掲げている。関税は現行の38.5%から10年後には23%まで落ちるとされ、イオングループ2,000店舗での中長期的な拡販を狙う。