東西の横綱にビール大手の取組み-食品産業ヒット商品番付 消費の二極化反映、高付加価値商品が好調
食品産業新聞社は「2014食品業界ヒット商品番付」をまとめた。注目の東西の横綱には、ビール大手「W(ダブル)ゼロ」と「プレミアムビール」を推挙した。単独の大ヒットは少なかったものの、14年のビール類の動きを代表する2分野となった。また昨年は4月の消費増税を意識し売れ筋商品への傾注が進んだためか、総じてヒット商品が少なかった。それでも消費の2極化を反映し、高付加価値商品に好調な商品が多かった。本紙関連を紹介する。
食品産業新聞社の制定する「食品業界ヒット商品番付」は、主に前年及び前々年後半に新発売しヒットした商品を対象としている。これに加えトレンドを形成した商品群、形態、マーケティングなども選んでいる。
番付編成会議はまず横綱の推挙から始まる。市場規模からみてビール類、飲料などが毎年候補に挙がるが、今回は東西ともビール類のカテゴリーを推挙した。
東横綱の「Wゼロ」はプリン体・糖質ゼロの発泡酒。7月にサッポロ「極ZERO」が発泡酒として再発売され、人気は急上昇、9月2日にアサヒ、キリン、サントリーが追随して同時発売するという珍しい現象になった。プリン体を控えている方でなくても、健康を意識する予防医学の観点から飲まれる傾向も顕著になった。
西横綱は「プレミアムビール」。サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」は11年連続で売上を伸ばすロングセラー商品だが、アサヒはギフト限定だった「スーパードライ ドライプレミアム」を2月に一般発売し、ヒット商品となった。キリンもギフトで「一番搾り プレミアム」、コンビニで「グランドキリン」を販売した。大手小売との留め型も含めて多彩なプレミアムビールが発売された。
東大関の国産ウイスキー。ここ数年伸長するウイスキー市場の立役者がジャパニーズウイスキーだ。国際的な評価の高まりに加え、NHKの朝ドラ「マッサン」で、接点はさらに拡大。ウイスキーとは縁遠かった主婦層や若年層も取り込み、市場が活性化した。
西大関は1杯抽出用レギュラーコーヒー。コーヒーは昨年、2年連続で消費量が過去最高となったが、家庭用で大きな成長を遂げているのは、1杯抽出用のレギュラーコーヒーだ。簡単便利に本格的なコーヒーを楽しめることが特徴。
張出大関は例年、流通関連となるが、今回は前年のCVSコーヒーのような派手な動きはなく見送り。
トクホ茶飲料は一昨年発売の「伊右衛門特茶」が勢いを増すとともに、昨春発売のコカ・コーラ「からだすこやか茶W」、アサヒ飲料「食事と一緒に十六茶W」などの新製品がヒットした。既存品とともに、市場を拡大している。張出関脇の2品も酎ハイ、天然水系飲料を代表するヒット商品。
小結の「キリン別格」は昨年11月に発売されたプレミアム飲料。コーヒーや日本茶など4品を展開し、2カ月で90万箱を販売した。清涼飲料市場にプレミアムカテゴリーを形成できるか、注目を集めている。これも今期の期待が大きい。
14年は消費増税を意識し売れ筋商品への傾注が進んだためか、全体にヒット用品が少ない年となった。それでも前頭に位置する商品はそれなりの結果を残したものだ。特に目立つのが、消費の2極化に対する高付加価値商品の台頭。まるごと果実、オトナの甘さ、フロマジュエル、マッシュボン、トマトジュースプレミアム、リコピンリッチなどが当てはまる。また簡便訴求でもふんわり鏡月、混ぜてマジック、粉末白だしなどが注目された。