円安進行、金額は10%増 2014輸入酒ランキング
◎数量前年並み、リキュール大幅増
本紙が毎年集計している2014年の輸入酒銘柄別ランキングがまとまった。ここでは財務省関税局が発表した輸入酒の通関数量(左表)から昨年を振り返ってみる。円安が進んだ2013年は数量2%増、金額額は18%増だった。今年は数量が前年比0.1%減と、ほぼ前年並で着地したが、進行する円安を反映して金額は10%の増となった。
輸入ビールは7%減となったが、海外ブランドビールは業務用市場の好調を受け、上位ブランドの多くが伸長している。昨年はクラフトビールが注目を集めるなど高付加価値商品がさらに浸透。ベルギービールも主要ブランドの多くが数を伸ばしたが、流通系PBなどが減少となり、通関数量は2ケタ減となった。また、2年連続2ケタ増を記録したドイツ、英国などからの通関数量も大きく減少した。
一方で、4割増と、上位国最大の伸び幅を記録したのがオランダだ。アメリカも24%増となった。韓国は前年の3割減に続き2割減と市場を縮小。麦芽発泡系新ジャンルも、わずかだが初めて前年を割り込んだ。
ワインでは、スパークリングワインが好調で、前年の6%増を上回る8%増となった。なかでも価格優位性の高いチリが35%増、アルゼンチンも17%増と、南米2カ国がシェアを伸ばしている。イタリア、南アフリカも共に17%増となった。2L以下のボトルワインでは、上位10カ国中、チリ、アルゼンチン、南アフリカと、ここでも南半球のワイン生産国が2ケタ増。その他の上位国は、イタリアがわずかに前年を上回ったものの、すべて前年割れとなった。また、まだ数量は少ないが、9位南アフリカ、11位ポルトガル、12位ブルガリアなどが、いずれも2割以上の増を記録した。上位国が不調な中、多様化するワイン生産国の今後の動きにも注目したい。ワールドカップ開催国として注目を集めたブラジルもアイテム増により、15位に入った。CIF単価は、円安を反映してすべての国で上昇している。
BIBを含む大容量ワインは前年並みだったが、輸入ワインの国内瓶詰が増える中、バルクワインは前年に続き2ケタ増となった。なかでもチリが前年の34%増に続き、今年も23%増と大きく伸長した。2位アメリカは、5%減だった。
ウイスキーはドラマの影響などで市場が活性化しているものの、輸入ウイスキーまでは影響が及ばず、前年をわずかに割り込んだ。国産ウイスキーにも使用される「ウイスキー原酒」は2%の増。バーボンは前年、販売元移管でマーケティング活動が活性化したが、昨年は36%の大幅減となった。
ハードリカーは、全体に不調。「モヒート」で着実に市場を拡大してきたラムが18%減、ウォッカも16%減、ジンは5%減。一方で、リキュールは前年の31%増を上回る39%増。なかでも韓国産は前年比2.6倍と、同国産RTs(Ready to serve)発売前の2012年比では13倍規模に拡大した。