通信販売の小売条件を緩和、大手製造でも地方原料使用なら扱い可能に
国税庁は11日、通信販売酒類小売業免許について酒税法の一部改正を行い、通達を行った。国家戦略特別区域諮問会議の方針に基づき、地方の活性化を目的に、通信販売での酒類扱い範囲を緩和したもので、これまでは年3,000kl以上の製造者(ここでは大手と仮置き)が製造したものは一律扱えなかったが、今後は地方の特産品等を原料として、その地の製造者が大手に委託した酒類を扱うことは可能になる(通達内容は10面、パブコメ結果は11面)。
国税庁では昨年末からパブリックコメントを募集しており、11日同日、その結果を公表した。110の意見が寄せられたが、今回の改正案に対しては特段の反対意見もなく、国税庁では今回の改正案をそのまま実行する形で、通達するに至った。
パブリックコメントで寄せられた意見には、通信販売での酒類の扱いついて、年3,000kl未満の制限廃止を望む声が圧倒的に多く、インターネットでグローバルに商品を受発注できる時代背景を重視し、さらなる規制緩和で自由競争のもと、選択肢の幅を増やす要望が目立った。この点について、国税庁では、「さらなる緩和については、小売業免許全体の在り方に関する問題であるため、昨年6月にアルコール健康障害対策基本法が施行されるなど未成年者飲酒防止を始めとする酒類の販売における社会的な要請が高まっていることなどを踏まえ、幅広い観
点から慎重かつ十分な検討を要するものと考えている」と慎重な姿勢を見せている。
酒類の通信販売では、平成元年以前に小売業免許を取得している販売者にとっては、品目について制限は設けられておらず、大手の酒類を扱いたい小売チェーンなどでは、廃業などにより小売免許を返上しようとする老舗の酒蔵などから免許を譲り受ける形で、ネットでの全品目の扱いを可能としている現状があり、今回のパブリックコメントでも、小売業免許の取得時期による扱い品目の差別化を指摘する声もあり、「完全撤廃」「自由化」を求める声もあがっていたとされる。
この点、国税庁では「確かに扱える酒類の範囲は、平成元年以前に取得した人は通信販売の分類がそもそもないので、単に小売できる条件となっている。免許の条件は酒税法の11条で規定されており、そこでは免許を付与する際に、必要な場合は、(扱いの範囲について)条件を付与することができるとある。つまり、付与した後を、法で縛っている」とし、付与後の条件変更については、さらなる法の改正が必要となることから、今後の検討事項との位置づけとみられる。現時点では、「そういう意見もあったように記憶している」ものの、具体的に「幅広い観点から慎重かつ十分な検討」を行う場などは明らかにされていない。この点、国税庁内で議論が深まるのかは現状では不透明といわざるをえない。