インタビュー キリンビール社長・布施孝之氏

–上半期のビール類課税出荷は6年ぶりプラスとなりました。
布施 戦略はきわめてシンプルだ。まずは「一番搾り」、これが6%増で、全体を牽引した。すでに昨年から、「一番搾り」の旗を立てて、経営資源を集中し、昨年年間でプラスとなったが、それで勢いがついて、手ごたえが出てきた。もうひとつは機能性。「機能性はキリン」という評価を頂戴しつつある。
「一番搾り」は、「9人の醸造家がつくる9つの一番搾り」と「小麦のうまみ」がプラスオンとなった。派生商品は本体のブランド力を弱めては元も子もない。この2つは「一番搾り」のブランド強化につながった。また、昨年から継続しているが、一番搾り製法を量販店などでのブランドセミナー開催により改めて訴求している。嵐オリジナルグラスのキャンペーンなど、お客様に刺さる施策が好循環していると思う。
また特筆して、「一番搾り」の伸びを支えたのは業務用だ。昨春、業務用の減分が大きかったが、昨夏からは「ブランド接点の大きなチャネル」と捉えなおし、開拓件数を大幅に伸ばしてきた。この4~6月も、大樽がプラスに転じている。
機能性は、昨年9月の「淡麗プラチナダブル」、今年1月末の「のどごしオールライト」が好評を得た。「プラチナダブル」は、発泡酒ゼロゼロ戦争を勝ち抜き、様々なデータからもトップブランドと言えよう。ロイヤルユーザーに支えていただいている。今年の上半期も、機能系の商品が各社から出され、機能系戦争だったと言ってよいが、下半期からブランド淘汰が起こってくると思う。秋の棚割りは7、8月には決まるし、上位銘柄への絞り込みが加速していくだろう。