ブームから定着へ、チリワインは急拡大-上半期のワイン市場
円高を背景とする低価格ワインの広がりを受け、伸長を続けてきたワイン市場も、ここにきて踊り場に入った感がある。国税庁がまとめた最新の課税数量を見ると、輸入ワインは1~4月で3%増と堅調だったが、国産ワインは前年を割り込み、トータルで1.5%増となった。昨年累計では国産が8%増に対し、輸入が4%増だったが、今期は国産と輸入が逆転した。
輸入ワインの中で、一人気を吐いているのがチリワインだ。今年上半期の輸入通関を見ても、上位5カ国で唯一の2ケタ増。1月と5月にはフランスを抜き、単月トップに立ったが、累計輸入量もフランスに迫る勢いだ。
なかでも大きく伸びているのがアサヒの「アルパカ」で、前年比2.7倍の46万c/s超を売り上げた。上半期だけで、昨年の累計販売量を上回ったことになる。今はほぼ一人勝ち状態の「アルパカ」だが、9月には対抗馬ならぬ対抗「鹿」としてメルシャンが「プードゥ」を、また、サントリーはチリアンライオン「ピューマ」を冠した「サンタ」を発売する。この秋、スーパー店頭のワンコインチリワイン市場は、相当に激化しそうだ。
チリワイン3強のひとつ、メルシャンの「フロンテラ」も8%増。チリワインでは中高価格帯となる「カッシェロ・デル・ディアブロ」が軒並み好調で、量販店・業務用ともに伸長している。低価格ワインのイメージからの脱却なるか。
同じく3強のひとつで、安定した人気を誇る「コノスル」も、値上げがあったにもかかわら ず6%増。同ブランドの中でも特に力を入れている「オーガニック」ラインは、前年比22%増と伸長した。この調子で各社のチリワインが伸び続ければ、年末には、通関史上初めてチリがフランスを抜いてワインの首位国になるかもしれない。
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