ビール4社の販売計画合計は前年比0.5%増、各社ともビールに注力
ビール4社の2015年のビール類販売実績と16年の販売計画が出揃った。販売実績はキリンビールとサントリーがプラスとなった。販売計画ではアサヒビール、サントリー、サッポロビールがプラスを計画している。キリンも「コミットメント力が問われており、0.9%減は最低必達目標で、この上はもちろん目指す」(布施孝之社長)。ビール4社の計画を積み上げると前年実績比0.5%増となる。
もっとも総需要は、人口減少と他酒類への流出で、各社ともマイナスを見込む。アサヒは1%減(ビール0~1%減、発泡酒4~5%減、新ジャンル前年並み)とみる。キリンは2%減(ビール1%減、発泡酒3%減、新ジャンル2%減)とみる。サッポロは1%減(ビール前年並み、発泡酒3%減、新ジャンル2%減)とみる。
販売計画に示されるように、今年各社とも注力するのがビールだ。2~6%まで幅はあるが、4社計では3.2%増となる。アサヒは3月23日に“究極のコクとキレ”に加え糖質50%オフの「ザ・ドリーム」を発売する。同社で7年ぶりのビール通年ブランドだ。
キリンは全国の47都道府県ごとに味の違いや個性を楽しめる「47都道府県の一番搾り」を5月から順次発売する。こちらも業界初の大きな挑戦となる。
サッポロも、「まずはビール、とにかくビール、今こそビール。何よりビールに力を入れる一年にする」(尾賀真城社長)。「ヱビス」「黒ラベル」ともに中味のブラッシュアップを行い、「黒ラベル」では、“旨さ長持ち麦芽”を100%使用した初のエクステンション商品を発売する。
サントリーは「ザ・プレミアム・モルツ」を3%増の1,800万c/s、「ザ・モルツ」を730万c/s計画する(15年は324万c/s)。また“エールビール”という新たな市場創造を目指して「ザ・プレミアム・モルツ〈香るエール〉」を3月1日から発売する。
本紙調べではビール総市場は、昨年8月から12月まで5カ月連続プラスできているとみられる。消費者の嗜好の変化、また各社の注力度合からして、今年が「ビール復権」の年になる可能性は十分にありそうだ。