上半期の市場を振り返る④ 清酒 パック減少、吟醸・純米の伸長と2極化、若者、女性と裾野広がり好機

1~6月の清酒市場は、既報(3日付)した日本酒造組合中央会の速報ベースで、0.7%減。前年1~6月が2.0%減だったことを考えると、決して芳しい状況とはいえないが、「来年は下げ止まり」の期待も抱かせている。明るい要因は吟醸、純米が好調で、大幅増を続けており、1~6月では吟醸が9.7%増、純米が7.4%増となっている。

一方で、ボリュームゾーンの本醸造が1~6月で4.6%減、一般酒が3.1%減となっており、こちらの下げ止まりが近年の重たい課題になっている。

ただ、トレンドを異にするこの両者は大雑把にいってしまえば、一般酒に代表される大量製品、スーパーなどで販売されるパック酒と、全国の中小蔵が醸した720ml瓶、一升瓶を中心とした純米大吟醸などの付加価値製品とに大別できる。

全国の地酒は都市圏で力のある有名酒販店が大きな影響力を持つという流通の観点からも、両者の特徴は分かれており、パック酒を主力とする大手酒蔵は吟醸、純米の販売網をどう進めていくのか、既存ルートなのか、新たな酒販店ルートも開拓するのか、との見方も指摘されており、当たり前だが、規模によって今後の戦略にも違いが必要であり、どう差別化していくか、流通網も大事な要素として捉えられている。

地酒ブームといわれる状況で若年層や女性にまで裾野が広がるのは絶好の好機であり、ツーリズムや地域資源との連携なども踏まえながら、いかに今後のファンを捉まえていくか、いまが仕組み時ともいえようか。