CVsの清酒販売、新たな小容量導入の動き

「ドライの清酒の週販は低いが、あれだけの来店数と店舗数なので、ほんの少し売れるだけでも大きな数量が出る」(メーカー)。3大チェーンのうち1社でも採用されると相当のボリュームになるが、CVs(コンビニエンスストア)は酒類に限らず商品改廃も早く、カットとなるとその分の落ち込みは大きい。フェースが広がってもカットなるとトップブランドのみ残ることから「CVsはアコーディオン」(メーカー)と、いみじくも表現される。業態特性から小容量、特にカップの主戦場となるが、「カップやブリックは品揃えをしても売り上げは伸びないため広げない。限られた枠で付加価値商品を試したいと聞いている」(メーカー)というように、最近では新たな小容量商品を導入する動きが目立っている。

黄桜はこの春、10年以上前から発売していた徳利型の180ml瓶の「通の本醸造」と「通の純米冷酒」が大手チェーンに採用された。秋冬新商品では「通の純米大吟醸 山田錦」もラインアップに追加し、別のチェーンでも新商品を含む2アイテムが採用。新商品のみ採用となったチェーンもあるという。「1合で少し変わった瓶系の特定銘酒は他社にあまりない。小容量で少しいいものを飲みたいという需要があるが、100mlだと少ない」(同社)ことに着目されたようだ。

菊正宗酒造は、ローソンで「香醸ネオカップ」を先行発売している。昨秋に発売した吟醸酒並みの香りが特徴の「上撰 純米酒・香醸」を、好調な「樽酒ネオカップ」と同じ180ml容器に詰めたもの。一般発売は春以降に予定している。

日本盛の「生原酒ボトル缶」はCVsが特に好調で、ローソンに2アイテムが新たに採用された。ファミリーマートでは専用商品の「Sake Bottle(サケボトル)」の導入店舗数が増えており、セブン‐イレブンでは9月19日から、「チアーズボトル 山田錦本醸造」と「同 純米吟醸」のボトル缶の2アイテムを、かなり高いカバー率で展開している。

本紙では清酒売り場の今後の販売施策について、CVsにアンケートを実施した。それによると、最近の消費者の購買傾向および伸長が目立つ商品として、「特定名称酒(特に吟醸酒・純米酒)のこだわり嗜好の商品が伸長」「300ml・カップ酒などの小容量サイズが伸長」「中小容量瓶と大容量パック」といった回答が見られた。

ファミリーマートはこの秋冬に、辰馬本家酒造が長年取り組んでいた冬季限定の「白鹿しぼりたて」の300ml瓶と、大関の「ワンカップ」の季節限定商品「秋あがり」を採用した。ほかにも地酒を2アイテム増やしたが、「季節感の訴求と地酒の強化」をその導入理由に挙げている。

同社は今後の日本酒売場の活性化策についても、「季節感の訴求」と「特定名称酒の強化」を掲げている。ローソンは、「4合瓶で高品質の酒(特定名称酒)を強化」して活性化を図る。

今後増やすカテゴリーについて、ファミリーマートは、「世帯人数の減少や酒類全体の飲用量低下を踏まえ、4合瓶から小容量清酒へ変更」するとし、300ml清酒と季節限定カップ酒を増やす考えだ。一方でローソンは、「消費者ニーズが高品質酒類へ変化」に対応し、4合瓶などを増やすとしている。

また、大手清酒メーカーに求める商品について尋ねると、ファミリーマートは、「4合瓶ではなく、500ml瓶商品。300ml以下の容量で、398円以下で展開できる商品。メディア露出を増やし、若年層や女性の話題になる商品」を期待している。ローソンは、「高品質で手頃な値段」求めているという