最終コーナーに向けて ビール4社の営業担当者に聞く④(終)
–今年の市場を振り返っていかがですか。
今夏は梅雨明けが遅れ、台風上陸が連続するなど、天候はさんざんだった。加えて、当社は4月の熊本地震によりサントリー九州熊本工場が被災した。工場はストップしたが、本州から製品を出荷した。卸・小売の皆様が自社物流で手当てしてくれるなどで、商品が切れることがなかったことに感謝したい。「ザ・プレミアム・モルツ」は、11月8日に仕込開始し、12月中旬には樽生を料飲店に届けられる見通しだ。
1~9月で、ビール類の総市場は前年同期比99%程度と推定されるなか、当社も同99%の5,256万c/sと、市場並みのトレンドとなった。3月に発売した「ザ・プレミアム・モルツ〈香るエール〉」は、“エールビール”需要を創造して、堅調に推移した。「金麦」ブランドは、新ジャンル市場が前年同期比99%程度とみられるなか、「金麦」が同104%、「同〈糖質75%オフ〉」が同111%と好調に推移した。ノンアルコールビールテイストの「オールフリー」ブランドは、前年同期比101%となった。
–ビール類総市場は伸び悩んでいます。
かつてのように“とりあえずビール”ではなく、いろんなシーンやオケージョンで、お客様が飲み分けているということが大きい。メーカーの提案が“ビール一辺倒”になっていたのは、歪だったのかもしれない。一杯目から「ハイボール」というのも、今では全く珍しいことではない。そういうお客様の嗜好を無視して、「とにかくビールを」というのは、メーカーの姿勢として正しくはない。“ビールを飲みたい時はビールを、ウイスキーを飲みたい時はウイスキーを”提案しなければならない。
その意味では、カテゴリーごとに強いブランドポートフォリオを幅広く持っている当社は強みがあると思う。加えて、今後、メーカーは、プロダクトだけでなく、サービス・リテールサポート・飲食店のフードメニューなど、あらゆる総合提案ができなければ生き残れないだろう。(以下、本紙にて)