英国AIコンパートメント導入を了承、ポーランド・AsF審議へ-家畜衛生部
農水省が事務局を務める食料・農業・農村政策審議会の家畜衛生部会(部会長・藤井千佐子福岡大非常勤講師)が25日、東京・霞が関の同省会議室で開かれた。英国で鳥インフルエンザ(AI)が発生した場合に同国政府認定のコンパートメント施設からの種鶏初生ヒナ輸入を認めることを答申したほか、ポーランド産豚肉をめぐってアフリカ豚コレラ(AsF)を対象としたゾーニング(地域主義)を適用することについて、牛豚等疾病小委員会で審議することを了承した。ポーランド産豚肉の地域主義設定については、生産者出身の委員から「アフリカ豚コレラにはワクチンがなく、もう少し慎重に事を運んでもらいたい」「1回農場にウイルスが入ったら大変なことになる」と反対の意見が相次いだ。また、メキシコについて、同国全土の豚コレラ清浄性を認めるリスク評価結果が報告された。これにより現在輸入を認めている6州以外からも豚肉の輸入ができるようになる。
ポーランドでは14年2月、北東部のベラルーシ国境に接しているポドラシェ県で、野生イノシシがAsFに感染していることが明らかとなった。その後、自家消費用の庭先養豚農場3件11頭での感染が確認されている。EU(欧州連合)はすでに、汚染地域と緩衝地域から構成される制限区域および移動制限条件などを設定したうえで、地域主義を適用している。
農水省では、14年7月に行った現地調査などに基づき、①迅速かつ適切な防疫対応の実施②AsF発生が汚染地域に限られている③サーベイランスを強化④制限地域からの生体および肉などの移動・輸出が制限されている–と評価。「追加的な緩衝地域を設ける等の一定のリスク管理措置を講じることが必要」という条件を前提に、地域主義適用による輸入再開の是非を検討するよう求めている。
英国でのコンパートメント施設認定は、大手の種鶏初生ヒナ供給事業者1社が対象で、関連施設は57施設に上る。施設内にウイルスが侵入しないよう厳格な管理が求められる英国基準にのっとり管理されている。英国は世界の種鶏供給基地であり、種鶏調達のほとんどを欧州に依存している日本にとってもメリットは大きい。答申を受け、農水省は今後、条件設定に向けた2国間協議を進める方針だ。