初生牛相場に天井感、2月取引価格も交雑・ヌレ子ともに昨対割れに

枝肉相場・素牛価格の高騰を受けて全国の初生牛価格も前年実績を上回る高値で推移しているが、その勢いも昨年末から徐々に収束し、前年価格を下回るなど天井感が出てきた。特に交雑種にその傾向が表れており、出回り頭数が増加してきたことやこの過熱相場に買い手側の警戒感が出てきたものとみられる。

農畜産業振興機構がとりまとめている全国25家畜市場の初生牛取引状況によると、2月の交雑種の取引価格は全国平均で15万円となり、前月から5,392円値上がりしたものの、前年同月比では1.3万円安となった。これで昨年10月以降、5カ月連続で昨対割れとなっている。同月の取引頭数が前年同月比14.8%増の1万3,728頭と、2月としては過去5年で最も多く、これが相場を緩めた要因とみられる。十勝中央では取引頭数が1,219頭(前年同月比2.0%増)となり、価格は13.4万円で同2.7万円安値となったほか、本州の家畜市場でも概ね同様の傾向がうかがえる。ただ、熊本市場などでは取引頭数が1,838頭(23.3%増)でも価格は17.2万円で同1,729円高値を付けており、依然として素牛高を受けて少しでも品質の良い牛を集める流れには変わりはないようだ。その一方で、後継者不足やコスト高、TPP交渉など将来の経営上の不安から買い意欲が弱まっているとの声も出ている。

ヌレ子は2月の取引頭数が9,125頭で前年同月比5.7%減と少なが、価格は4.8万円・同1,518円安値となり、交雑種ほど値下がりしていない。乳雌そのものの頭数減少や交雑種への交配率向上で慢性的に出回りが不足しており、2月の取引頭数としては過去5年でも最も少ない。ヌレ子は例年6月ごろをピークに相場が値上がりする傾向にあるため、この出回り不足が相場を下支えするとみられる。