西海岸の正常化は4月末か 輸入チルドポーク
◎高騰する国内枝肉相場も一服へ
米国西海岸の労使問題による輸入チルドポークへの影響は、現状では1週間ほどの遅れとなり、4月末には正常化する見通しだ。輸入チルド不足で高騰した国内の豚枝肉相場も徐々に落ち着きはじめている。今期は、各社とも前年に現地価格上昇で苦戦した輸入チルドのブランドポークの販売を再構築することにしている。同時に、この1年で認知度が高まったフローズンでのブランドポークが定着することが見込まれる。
日本の食肉輸入だけではなく様々な商品の輸出入に甚大な影響を及ぼしたアメリカ西海岸港湾施設での労働交渉が、現地2月20日に国際港湾倉庫労働組合(ILWU)と太平洋海事協会(PMA)との間で暫定合意に達した。労使交渉の長期化に伴って行われたスローダウンにより、北米産チルドポークの供給が不安定になり、国内の豚枝肉相場も高騰するなど大きな影響を受けた。米国産チルドポークは、現状では1週間遅れで入船し、4月後半にはほぼ正常化すると見込まれるが、今後は高騰を続けている国内の枝肉相場の動向が注視される。
昨年3月からの輸入豚肉をめぐる状況は、2月のポーランドでのアフリカ豚コレラの発生、米国でのPED(豚流行性下痢)の発生と牛肉価格高騰からの豚肉への消費シフトによる現地価格の上昇、北米からの買いによるEU価格の上昇、その後のロシアの禁輸によるEU価格の低下、国内ではPED発生と輸入チルド価格上昇による国内豚価の高騰、秋口からの円安と、この1年は目まぐるしく変化した。さらに、ようやく米国での現地価格が落ち着いたところで、米国西海岸問題による供給不安定が、混乱する豚肉需給に追い打ちをかけた。
この間の変動は、特集面(4~7面)の通りだが、量販店での販売は、末端価格の上昇で売上金額は上昇するものの、消費量自体は縮小したとみられる。また、量販店店頭で国産豚肉、輸入チルド豚肉の特売が減少する中で、フローズンの解凍品の販売も目立ち始めた。販売に当たっては、単なる安価な解凍品ではなく、産地やストーリーにこだわったブランドポークが求められ、結果的にフローズンのブランド化が進むことになった。今期についても、これらフローズンのブランドポークが外食、中食、そして量販店での販売が継続されるとみられる。
一方で、輸入チルドのブランドポークは価格上昇で苦戦したが、米国の現地価格が下がってきたことで、各社とも再び拡販に力を入れることになる。輸入チルドポークは、現状では1週間前後の遅れが続いているが、4月後半には供給が正常化され、販売も軌道に乗ると見込まれる。
また、ここまで高値を続けてきた国内枝肉相場だが、4月初めには月初の手当てと出荷頭数が少なかったことで再び上昇したが、一部で輸入チルドの余剰感が出たことで徐々に落ち着き始めると見込まれる。国内枝肉相場は、この1年で急騰急落を繰り返してきたが、輸入チルドの供給が正常化する中で、極端な変動を避けるためにも計画的な輸入が必要になっている。