中央畜産会が定時総会、TPP交渉で畜産に多大な影響がないように強く要請へ
中央畜産会(小里貞利会長)は26日、東京千代田区のお茶の水ソラシティで2015年度定時総会を開き14年度の事業報告、14年度決算を原案通り承認した。役員の補欠選任では、宮島成郎常勤常務理事(学識経験者)、山内孝史理事(前協同組合日本飼料工業会会長)が退任、後任の常務理事に伊地知俊一氏(学識経験者)、理事には鹿間千尋氏(協同組合日本飼料工業会会長)が選任された。
総会に先立ち小里会長(=写真)は、最近の鹿児島県の天候不順、畜産が主な産業である口永良部島の噴火などで感想を述べるとともに、中央畜産会の60周年、TPP交渉、最近の畜産の情勢に触れてあいさつした。60周年については、「1955年12月に設立され、今年60周年を迎える。ひとえに農水省、会員の皆さんの支援の賜物。畜産物を取り巻く環境は大きく変わり、それに対応して業務や組織も変更して本日に至った」と述べた。TPP交渉では、「交渉の合意に不可欠な米国のTPA法案は紆余曲折を経て、24日に上院で可決された。甘利担当大臣が、7月合意の可能性も示唆するなど大詰めを迎える。国会決議を踏まえて、畜産物に多大な影響がないように強く要請したい」と、畜産物に大きな影響がないよう引き続き要請していくこととした。
来賓では原田英男部長があいさつし、「この
1年、酪農、肉牛、養豚、養鶏と生産基盤が弱体化し、配飼価格も高止まりするなど厳しい状況が続く。農水省としては、畜産経営のカンフル剤として予算措置を行った。特に畜産クラスター事業では、地域ぐるみで収益を上げていく。手ごたえを感じており、さらに必要な予算措置をしっかり取っていきたい。そのほか輸出、衛生関連など様々な対策を行う。国産の畜産物が足りないと言われる中で、これに応えていくのが畜産の使命であり、消費者の支持を受けていることを確信してさらに事業展開を進めていただきたい」と述べた。
引き続き、14年度の事業報告が行われたが、南波利昭副会長は、現状のTPP交渉について「TPA法案が可決されたことで、次のステージに移った。自民党でも7月に各地で意見交換会を開催すると聞いている。牛肉、豚肉関税が報道の通り引き下げられれば、畜産は大変なことになるということを、この意見交換会でも伝えなければならない。畜産ネットワークとしても、閣僚会合がいつ開催されても対応できるようにしたい」と述べた。