9月の豚肉需給展望 月間平均で税抜き540円前後、末端不振も高値続く
[価格見通しなど]2015年8月の東京食肉市場の上物平均価格(税抜)は588円(税込では635円)、前月比9円安(税込では10円安)となった。本紙や業界の見方では、月間平均で600円前後とみられていたが、後半の下げは小幅にとどまったものの、旧盆前の上昇が予想より小さく、月間平均では予想を10円前後下回った。
8月の全国出荷頭数は、毎日の速報値の積み上げでは1日当たり5万8,500頭前後で、6万頭を下回ったと見込まれる。売れ行き自体は、旧盆までは極端な猛暑、逆に休み明けは天候不順が続いたことで各量販店などでは計画を下回るところが多かったと見られる。また、輸入チルドポークは、7月後半からコスト的に下がった7月生産分が潤沢に供給された。これが旧盆前の国産枝相場の極端な高騰を抑えたと見られる。さらに月末には、学校給食の再開で国産のスソ物への引き合いも入り、豚価を下支えした。
出荷頭数が減少する中で、その分、相対取引の割合が高まり、少ない市場出荷分を取り合うことで、わずかに買いが入っただけで枝肉相場が上昇する形になっている。このため、売れ行きが極端に悪かった8月下旬でも下げは小さく、末端の売れ行きと枝肉相場が連動しづらくなっている。
9月は、農水省食肉鶏卵課の肉豚出荷頭数によると、全国の出荷頭数は前年比1%増の135万4,000頭を見込む。過去5年平均比でも1%増と、増加を見込んでいる。8月上旬の猛暑と、その後の天候不順による気温の低下が豚の成育にどう影響するかは不透明だが、9月前半は少なく、シルバーウイーク前後から、休市による出荷の集中もあって出荷が増えてくると見込まれる。
一方、輸入チルドは、8月生産分はバラは高いものの、他の部位は安定しており、比較的潤沢に入ってくると見込まれる。需要面では、学校給食が始まり、スソ物への引き合いが入るが、国産は量販店での利益確保のため特売はほとんど見られず、量販店での特売は輸入チルドが主流になる見込み。これらを勘案すれば、シルバーウイークまでは、税抜きで550円前後(税込600円前後)、その後は530~540円(570~580円)で推移し、月間では540円前後(580円前後)と見込まれる。
また10月は食肉鶏卵課の予測では出荷頭数は2%増(過去5年平均で1%減)の146万2,000頭が見込まれる。国産の販売が増えるにしても、1日7万頭近い出荷があれば、相場は下げに転じると見られ、一時的にしても税抜で500円前後まで下げると見込まれる。