10月の豚肉需給展望 月間平均で税抜き430~440円か、量販店での特売も本格化
2015年9月の東京食肉市場の上物平均価格(税抜)は471円(税込では509円)、前月比117円安(税込では126円安)と急落した。当初の本紙や業界の見方では、月間平均で540円前後とみられていたが、「シルバーウィーク」での特売が輸入チルド中心となったこと、出荷が徐々に戻る中で相対で揃わなかった県産指定豚の市場での調達も収まったことで一挙に下げた。9月1日の577円が、末日の30日には412円と、価格差は165円にまで開いた。いずれにしても、予想を大きく超す下落となった。
9月の全国出荷頭数は、毎日の速報値の積み上げでは前年比3%減の約130万頭、1日当たりでは休日が多かった関係で6万8,500頭前後とみられる。売れ行きは、相場高を踏まえた末端価格の上昇で動きは悪く、また「シルバーウィーク」の特売は価格の安定している輸入チルドが中心となったことで、連休前の手当ても薄かった。また、これまでPEDなどの影響で出荷が少なかったことで、相対で頭数が揃わなかった業者が、市場での手当てを行い、特に県産の指定があった場合は、価格が上がっても手当てせざるを得ないことから、実態以上に相場が上昇する傾向があった。しかし、これも出荷の回復により解消されつつあることで、「消費なりの相場に戻った」との見方が聞かれる。
10月は、農水省食肉鶏卵課の肉豚出荷頭数によると、全国の出荷頭数は前年比2%増の146万2,000頭を見込む。過去5年平均比では1%減を見込んでいる。実際に、10月に入ってからの概算の全国出荷頭数は6万2,000頭前後から6万4,000頭前後と、コンスタントに6万頭を上回る状況になっている。輸入チルドは、連休明け以降、若干動きは鈍っているが極端に余剰感がある訳ではない。一方で、国産の相場低下から量販店の特売が国産にシフトするとの見方が強まり、手当ては絞り気味となっている。需要面では、スライス物が動く季節になり、同時に相場がここまで下がったことで、中小量販店だけではなく、大手量販店での特売も「体育の日」の連休からは始まると見られる。
これらを勘案すれば、8日現在の445円(税込481円)に対し、連休明けの13日以降は一段下げるものの、430円前後で推移し、月間平均でも430~440円(同465~475円)と見込まれる。