後継者が安心して再生産できることが大事と森山大臣、畜産ネットTPP緊急要請に

日本の畜産ネットワークは23日、森山裕農林大臣にTPP交渉結果に関する緊急要請を行った。

要請では、TPP大筋合意について、「畜産にとっては極めて厳しい交渉結果で、影響は畜産のみならず、畜産関連産業ひいては畜産農家が担っている地域振興にも大きな影響が出る」と影響の大きさを指摘した。一方で、日本の畜産は技術的には一定の水準にあるものの、飼料原料を遠隔地に運ばざるを得ない地理的要因、土地面積の制約要因、厳格な環境基準への対応など高コストにならざるを得ない。規模拡大が急速に進み、今後、これまでのテンポでのスケールメリットは期待できないとして、「将来にわたって畜産の再生産が可能となるよう、万全かつ恒久的な制度・対策の充実・法制化に重点を置き対策を講じるよう」要請した。

具体的な内容は、①将来にわたり、後継者などを含めて、希望を持って畜産の再生産を可能とするため、畜産全体の畜産経営安定対策の充実と法制化②生産性と付加価値向上のため、畜産クラスター事業などの拡充と継続、飼料の安定的な入手と生産基盤の強化、肉用牛経営継続に必要な繁殖基盤の強化、新技術の導入促進、低利資金の拡充、優遇税制措置など③畜産環境規制など厳しい規制に対応するため、悪臭防止、水質汚濁防止などに対する対策支援④畜産関連産業への影響緩和のため、と畜場、食鳥処理場、鶏卵処理場などの合理化促進の支援⑤消費者対策として、正確な情報を消費者に伝えるため、加工品、調製品、中食・外食産業などに対する広範で厳密な原産地表示の実施など表示の適正化-を求めた。

森山農水大臣は、「合意内容を見ていただければ、農水省が様々な配慮をして守るべきものを守ったかご理解いただけると思う。かといって、現場の農家の皆さんに不安があることは確かに感じている。まず内容をしっかり説明することが大事で、分野別に説明会を行っている。内容を知っていただいて、そこから必要な対策が出てくると思う。いずれにしても後継者が安心して再生産できることが大事であり、我々と農家の皆さんの方向は一緒であると思う」とし、それぞれの要請項目に対し対応方向などを説明した。