TPP対策の意見取りまとめ、農家の経営強化と不安解消が柱に-自民党

自民党は11日、農林水産戦略調査会・農林部会合同会議を開いた。TPP大筋合意について様々な形で聞き取ってきた意見のうち、国内対策に関係するものを農水省が整理して報告した。そして、農水省は国内対策の項目として、「関税削減に耐えうる経営の確立への対応」と「輸入急増・価格低下の不安への対応」の2点を挙げ、前者では農業の競争力強化・輸出力強化対策など、後者では、経営安定対策の充実・強化を行うと説明した。

自民党は、この会議から農林水産分野の国内対策の内容についての議論を開始、きょう(12日)の会議ではウルグアイ・ラウンドで行った対策を検証するため、当時の農林幹部だった谷津義男氏を招いて聞き取りを行う。

国内対策にかかる意見として、畜産物では、畜産クラスター事業の充実や輸出用を含めた食肉処理施設の整備、牛・豚マルキンの補てん割合や国の拠出割合の引上げなどの経営安定対策の充実と法制化を図る必要があること、さらに繁殖基盤強化や、食鳥の施設整備等の合理化支援なども挙げられた。飼料では、自給飼料生産基盤の強化と配合飼料価格安定制度の安定的な運営など、輸出については、農林水産物の輸出に対する支援の強化を図る、輸入規制や非関税障壁の撤廃・緩和に向けた戦略的な働きかけを図るなどの意見がまとめられた。

対策全般への意見としては、「消費者に価格維持だけの政策をやっているように思われないよう、生産者も努力しながら再生産につながるような対策にすること」「コスト削減や競争力強化でなく、経営支援を第一に考える必要がある」などの声が上がった。対策の財源については、「受益分野から財源を確保するなど、恒久的な財源確保の仕組みを考える必要がある」「経営安定対策で新たに必要となる予算については、現行の農林水産予算とは別枠で確保する必要がある」などの意見が上がっていた。

参加した議員からは、「納税者と農業者双方に将来が説明できる必要がある」「今回の大綱で対策がすべて決まるのではなく、次の大綱がある、見直し改正されることもあるという風にしてほしい」「畜産クラスター事業では、酪農の事例で、ロボットを導入して空いた時間で6次産業を手掛けたいと考えても、規模拡大要件があり難しいといったこともある。規模拡大が限界まで進んでいるところが生き残っている地域もあり、単純更新も含めて要件緩和をしてほしい」などの意見が挙がった。