TPP対策案で牛・豚ともマルキン法制化を盛り込む-自民党

自民党は16日、農林水産戦略調査会・農林部会合同会議で「農林水産分野におけるTPP対策(案)」について、13日に提示したものからさらに検討を加えた新案について議論を行った。畜産では、経営安定・安定供給のための備え(重要5品目関連)の項で、肉用牛肥育経営安定対策特別事業(牛マルキン)、および養豚経営安定対策事業(豚マルキン)を法制化し、牛・豚とも補てん率を8割から9割に引上げるとともに、豚マルキンの国庫負担水準を現行の国1、生産者1から、国3、生産者1へ牛と同レベルに引上げることが盛り込まれた。また、肉用子牛保証基準価格を経営の現状に即したものに見直すことも記述された。議員らからは、特にマルキンについて具体的で踏み込んだ書きぶりを高く評価する声が上がった。同案は、西川公也調査会長と小泉進次郎部会長の両会長一任で16日の議論を反映して取りまとめられ、17日に農林分野の政府への提言が取りまとめられる。

今回示された案では、対策の財源について

は、“牛肉の関税が減少することにも鑑み”、と書き加えられ、TPPによる関税収入減が施策に影響を与えないよう改めて記述された。全体としては、副題の“農業新時代”が“農政新時代”に改められたほか、冒頭に国民全体へ向けた、日本食の魅力とそれを支える農林水産業に関するメッセージを記載している。

また、13日の案では空欄となっていた今後の検討項目には、①戦略的輸出体制の整備、②原料・原産地表示、③チェックオフ制度の導入、④従前から行っている収入保険制度の導入に向けた検討の継続、⑤農家が安心して飼料用米に取り組めるよう、食料・農業・農村基本計画に明記された生産努力目標の確実な達成に向け、生産性を向上させながら、飼料用米を推進するための施策、⑥配合飼料価格安定制度の安定運営のための施策、⑦肉用牛の生産基盤強化のための更なる検討–など様々な内容が加えられた。TPPによる、生産者の不安払しょくへ向け、今回だけでは終わらず検討を続けていく姿勢を示した。