TPP影響予測とその対策について多く意見があがる-畜産部会、 「生産現場の不安の解消」「対策は関税削減後の状況からの逆算を」など

農水省は1日、食料・農業・農村政策審議会畜産部会の15年度第1回の会合を開いた(一部既報)。同日は、16年度畜産物価格決定へ向けての議論を行い、委員からはTPPについて生産現場の不安を訴える声や現状の定性的な影響予測では不足との声が上がった。生産関連の委員からは「TPPについて、現実問題として理解されていない。どう降りかかってくるか現実的には把握されておらず、嵐の前の静けさのようだ。検証を継続して、現場に降ろしてほしい」など、生産者の抱える不安が伝えられた。そのほか、「影響は軽微というが、関税削減後の状況から逆算して今何が必要かを考えるべきだ」など、将来の予測を基にして政策を考えるべきだと指摘する意見もあった。新マルキン法制化などの対策については「補てん割合が9割になれば経営は安定する」との評価や、「TPPを待たずに実施してほしい」などの意見もあり、事務局の農水省は、「新マルキンの見直しは関税削減の影響への対策と整理されており、筋として関税削減が始まってからということになる」と理解を求めた。

委員らからは、「TPP大筋合意を受けて生産現場へメッセージを発信してほしい。食料・農業基本計画の理念に基づいて、そこで掲げる目標の実現、酪肉近の実現に向け、予算、基盤の確立をしっかりとやってほしい」「畜産クラスターでは、生産現場の需要が大きい中、予算も不足している。規模要件があり、家族経営の利用が難しい。要件の緩和を検討してほしい」「生産者の減少傾向を心配している。TPPいかんによらず、生産者の減少に歯止めがかかるよう、一刻も早く、予算措置も含め実行に移してほしい」「増頭については、ただ牛を増やすだけではなく、牛舎も必要となる。増頭の奨励金だけでなく、その点でも支援が無ければ、生産基盤拡大といっても先々増やしていけない」などの要望が上がった。