2月の豚肉需給展望 出荷タイトと末端需要好調で税込480~500円の展開か
ことし1月は年明けから月半ばの15日にかけて1日当たり7万頭台後半の多めの出荷頭数だったうえに、年末年始が暖冬の影響で鍋物需要が伸び悩んだことで、枝肉相場は月半ばにかけて400円前半(税込、以下同じ)にまで落ち込んだ。後半は気温の低下で鍋物需要が盛り返すと同時に、九州など降雪の影響で出荷に影響が出たほか、さらに25日の週には一部市場で臨時休市となったことで周辺市場に買いが入るなど予想外の展開もあり、東京市場・大阪市場ともに500円台に相場が跳ね上がった。一方、2月の出荷はさほど多くはないとみられており、末端需要も量販店の特売が増えていることから、枝肉相場もやや上げて400円台後半の小確りした展開となりそうだ。
[供給動向]2月の出荷頭数は、農水省の全国予想によると前年比6%増の135.8万頭と予測している。1日当たり(稼働日20日)では6万7,900頭となる。1月のと畜実績(7万900頭)から3千頭少ないが、前年実績(1日当たり平均6万5,700頭:稼働日19日)に比べて2,200頭ほどの増加となる計算だ。もっとも、こうした見通しに対して業界関係者は、最近の寒波による増体への影響や、各地でPEDの発生がチラホラ出始めているため、農水省の予想よりも増えてこないとの見方を強めているほか、増えたとしても月中盤以降とみる向きもある。2月に入ってからのと畜頭数は、1日は6万5,800頭と少なく、2日はやや多めの6万8,600頭に上っている。これに対してチルド豚肉の輸入量は、農畜産業振興機構の予測で2.7万t(前年比31.7%増)となっており、1月の輸入予測から300t減と2万t台後半の輸入が続く見通しだ。そのなかで肩ロースなどの買付数量は多くはなかったようで、これら一部部位の需給緩和効果は薄いものとみられる。
[需要動向]上述の通り、1月の末端消費は年末から年明けにかけて暖かい日が続いたことで鍋物関係が伸び悩み、小間切れなどが中心だったが、中盤以降は寒さの強まりで鍋物需要が活発となり、カタロースをはじめバラ、スソ物など各部位まんべんなく堅調な動きを見せていた。2月に入ってからもこの流れは続いている。流通各社で部位の強弱はあるものの、モモ系中心に動きは堅調にある。また受験シーズンということでロースも好調で、バラも早々に動き始めているようだ。また前年同時期に比べて相場が安値にあることから、年度末にかけて小間材などは輸入から国産へシフトする動きもあるようだ。また6日から12日までは北日本以外は全国的に平年より気温が低いとみられるうえに、量販店では9日(年に一度のニクの日)や「建国記念の日」に向けたセールを計画しているところも多く、少なくとも2週目までは堅調な荷動きが続きそうだ。3週目以降は全国的に平年並みか高い気温が続くとみられ、鍋物商材の動きもいったん落ち着くとみられるものの、決算期もあって量販店では特売回数も増えているため、需要は底堅く推移するとみられる。
[価格動向]1月の東京市場の平均相場は、上物で466円(税込、生体)、中物で425円、並で387円だった。前述の通り1月25日の週に上・中物で500円円台に上昇したが、2月に入ってからも出荷頭数は多くはなく、関東3市場の上物では1日が529~575円、2日は562~590円に上げており、2週目半ばまでは堅調に推移しそうだ。中旬以降は、出荷も増えるなどして一度中だるみが生じそうだが、月末にかけて出荷は当初予想よりも多くは出てこないとの見方もあり、月平均では前月からやや上げて480~500円と小確りした相場展開になるとみられる。