WHOの影響減少傾向 食肉加工品

▽食肉加工品新製品ー「健康」「安心感」「こだわり」を訴求

ハム・ソーセージなどの食肉加工品は、中食・内食需要が追い風となり、11年から14年まで4年連続で生産量が前年を上回った。15年も引き続き堅調に推移する見込みであったが、10月末のWHOの発表により、販売量・生産量が減少し、歳暮ギフトなどにも影響を与えた。

3月上旬にハム・ソーメーカー(回答9社)とスーパーなど流通企業(回答10社)、を対象に実施した食肉加工品に関するアンケートでは、WHOの発表により、秋から冬にかけてメーカー各社の売上げは、2ケタの落ち込みとなり、流通各社でも発表直後のダメージが大きかったとしている。WHOの影響を受けながらも、メーカー各社の15年度通期の売上げは、コンシューマー商品の回復、好調な主力商品の牽引などにより大手を中心に売上げが伸長。CVsや外食、業務用への販路拡大といった動きも出ており、「原料価格の安定化も追い風」となった。

一方、流通企業では、ウインナー群は苦戦したが、オードブル商品や健康志向商品を展開し、内食需要が追い風となっているハンバーグ類の品揃え強化に注力するなどの取り組みで、4社が売上げを伸ばした。直近では、「影響については減少傾向」との声が多く聞かれた。

今春のメーカー各社の商品は、「健康」「安心感」「こだわり」を前面に出したトレンドが顕著に見られる。WHOの発表でも、健康に対する安全性が取り上げられており、改めて食肉加工品の安全性を消費者に訴求することで、消費を取り戻す考えだ。このほか、原料や製造方法、製造工場などにこだわった上質な商品に注力する傾向も見られる。

回答があった5社全てが、16年度の売上げが前年を上回ると見込んでいる。

業務用は、中食・外食業界の人員不足の問題を解消する加工品の提案といった動きも計画されている。販促にも注力しながら、挽回を図りたい考えだ。テーマパークへ招待する消費者キャンペーン、LINEなどのsNsの活用、テレビCMの放映などにより、消費者への訴求を高め、認知度向上を目指す。

また、流通企業では5社が16年度の売上げを伸びると予想。今後の重点施策に、「健康志向」「安心感」「こだわり」を掲げ、消費者に対して、健康志向商品のカテゴリ化による商品ラインアップの強化、国産の食肉を使った商品展開による安心感、シニア層や若年層など世代に合わせた売り場展開によるこだわり感の訴求などを計画する。

このほか、内食・中食向けに、ディナー需要向けにハンバーグ類、催事期向けにオードブル類、家飲み需要向けにおつまみ商材を強化し、食肉加工品市場全体の底上げを目指している。