【養豚農業実態調査】㊦ 繁殖・肉豚出荷成績は向上、事故率も改善-JPPAまとめ
日本養豚協会(JPPA、志澤勝会長)がこのほどまとめた、2015年度養豚農業実態調査によると、かつて同協会が実施した09年度養豚基礎調査と比べて飼養状況では、規模の拡大や海外ハイブリッドの導入増加など、肉豚出荷では出荷時日齢が短縮すると同時に生体重が増加するなど、6年前との差異が随所でうかがえた。後半では、繁殖成績や事故率の状況、今度の経営意向などを見てみる。
[繁殖・肉豚出荷成績]14年(1~12月)の繁殖成績の実績を見ると(回答数738農場)、1腹当たりの平均ほ乳開始頭数は11.0頭、平均離乳頭数は110.0頭となり平均育成率は89.9%に上った。09年度養豚基礎調査(3,202農場)と比べて、それぞれ0.7頭・0.8頭・0.6ポイント増加するなど、わずかながらも成績向上が伺える。平均受胎率は88.2%(09年度基礎調査88.1%)の半面、平均分娩率は86.0%(86.4%)と落ち込んでおり、13年度の猛暑やPED発生が影響したとみられる。平均分娩回数は2.2回(2.2回)と09年度基礎調査と変わらなかった。地域別では、北海道・東北、東海、中国・四国で全国平均を上回る項目が多い。ただ、近畿や九州・沖縄では全国平均を下回った。
肉豚出荷のうち格付方法(回答数691農場、複数回答)は、格付しているが95.7%(94.0%)で、うち日本食肉格付協会の格付けが84.1%(85.9%)、自主格付が21.5%(21.3%)に上った。地域別では、北陸、東海、近畿でともに格付実施率は100%(格付していないも2.8%・1.7%・7.7%)となり、関東が92.4%と最も低かった。また格付方法については、単一格付方法と複数の方法を用いている農場があり、すべて日格協の格付を取る農場は68.5%(71.7%)、すべて自主格付が10.7%(12.5%)、日格協と自主格付の併用は9.1%(6.4%)だった。肉豚出荷成績(回答663農場)では、全国ベースの上物率は54.3%(54.0%)で、九州・沖縄が61.7%(66.7%)、中国・四国が57.3%(58.1%)と高く、近畿が33.8%(42.3%)と低かった。
[事故率]14年の事故率(回答655農場)は「子豚舎・子豚豚房(離乳後~肥育組入れ)」が4.8%(09年度基礎調査7.0%)、「肥育舎・肥育豚房(肥育組入れ~出荷)」が3.8%(4.2%)となり、これら期間の通算の事故率は7.6%(9.6%)と6年前と比べて事故率は各ステージで低減していることがうかがえる。
地域別でみると、子豚舎・子豚豚房では九州・沖縄が5.8%(8.6%)と最も高く、北海道・東北が3.6%(5.4%)と最も低い。肥育舎・肥育豚房では、北陸が4.5%(4.1%)が最高で、北海道・東北が3.2%(3.4%)と最も低い水準。期間通算でも九州・沖縄で8.5%(11.0%)と最も高く、北海道・東北が6.2%(7.8%)と低く、いずれのステージも北海道・東北は全国平均を下回る結果となった。